プレスリリース・記者会見等

このエントリーをはてなブックマークに追加

FQUROH(フクロウ)プロジェクトにおける機体騒音低減技術の飛行実証試験について
~ フラップでの低騒音化デバイスによる機体騒音低減効果の飛行実証は世界初 ~

平成28年10月13日

国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構

 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、実験用航空機「飛翔」のフラップと主脚に低騒音化デバイスを取り付け、機体騒音低減技術の飛行実証試験を実施した結果、いずれも騒音低減効果が認められ、特にフラップは設計で想定していた騒音低減効果を確認しました。

 フラップなどの高揚力装置の騒音低減は、揚力への影響と改造の複雑さから世界的にも飛行実証をした事例はありませんでしたが、今回、フラップの騒音低減効果について世界に先駆けて実証しました。

 今回実施した試験は、予備実証試験として、初期段階の低騒音化技術の検証とともに、機体改造や飛行許可などを含む飛行実証試験のプロセスの確立を目的としており、低騒音化技術の検証、実証試験プロセスの確立ができました。

 今回の結果を踏まえて、共同研究パートナーである川崎重工業株式会社航空宇宙カンパニー、住友精密工業株式会社、三菱航空機株式会社とも連携のうえで研究開発を推進し、次年度以降に「飛翔」および旅客機を用いた機体騒音低減技術の飛行実証を行い、機体騒音低減技術の確立に向けて取り組んでいきます。

騒音源(1kHz)の比較(速報)

低騒音化デバイス無

低騒音化デバイス無

低騒音化デバイス有

低騒音化デバイス有



(別紙)

試験概要

 のと里山空港の敷地内に設置した音源計測装置(マイクロホン・フェーズドアレイ)上空を、実験用航空機「飛翔」に低騒音化デバイスを取り付けた状態で飛行を行い、騒音の発生箇所を計測しました。試験期間の後半では、さらに低騒音化デバイスをフラップのみ取り付けた状態、次に何も取り付けていない状態で騒音の発生箇所を計測し比較用のデータを取得しました。9月12日から9月30日までの試験期間中の合計13回の飛行により177回の騒音計測を行いました。

地上に設置したマイクロホン・フェーズドアレイ上空を通過する「飛翔」
地上に設置したマイクロホン・フェーズドアレイ上空を通過する「飛翔」

低騒音化デバイス(フラップと主脚の赤い部分)を装着して飛行する「飛翔」と各デバイスのアップ
低騒音化デバイス(フラップと主脚の赤い部分)を装着して飛行する「飛翔」と各デバイスのアップ

FQUROHプロジェクトの目標達成のステップ

FQUROHプロジェクトの目標達成のステップ

将来の静かな旅客機の実現のために必要な低騒音化技術の確立

 現在、空港周辺では、民家騒音対策、土地の利用制限が行われ、また、空港の夜間運用制限、エアラインが支払う空港着陸料が騒音レベルで決められるなど、航空機の騒音に伴い、様々な対応が必要になっています。
 このような中、今後、20年間で航空輸送は2.6倍に増加することが予想されており、離発着回数の増加に伴う騒音被害を上回るだけの旅客機の低騒音化が必要になります。
 しかしながら、この20年間、着陸時の騒音は大きく下がっておらず、その要因の一つである機体騒音の低減技術の確立が重要なブレイクスルーとなります。
 これまでJAXAが数値解析・風洞試験によって開発してきた機体騒音低減技術を実機飛行環境において技術実証を行うこと、また、飛行実証結果を検証するプロセスにより、低騒音化技術の実機適用での課題を解決する技術を確立します。


PAGE TOP