金井宣茂宇宙飛行士搭乗のソユーズ宇宙船(53S/MS-07)の帰還について
平成30年6月3日
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構
国際宇宙ステーション(ISS)での長期滞在を終了した金井宇宙飛行士が搭乗するソユーズ宇宙船は、以下のとおり無事帰還いたしましたのでお知らせします。
着陸日時 | : | 平成30年6月3日(日) 21時39分(日本時間) 平成30年6月3日(日) 18時39分(カザフスタン時間) |
---|---|---|
着陸場所 | : | カザフスタン共和国 |
搭乗員 | : | アントン・シュカプレロフ(ROSCOSMOS、露) スコット・ティングル(NASA、米) 金井 宣茂(JAXA、日) |
備考 | : | シュカプレロフ宇宙飛行士、ティングル宇宙飛行士、金井宇宙飛行士の 第54次/第55次長期滞在クルーは、宇宙に168日間滞在しました。 |
参考リンク | : | より詳細につきましては、次のインターネットアドレスをご覧ください。 |
---|
理事長談話
金井宣茂宇宙飛行士搭乗のソユーズ宇宙船(53S/MS-07)帰還について
本日、国際宇宙ステーション(ISS)での長期滞在を終えた金井宇宙飛行士が、ソユーズ宇宙船(53S/MS-07)にてカザフスタン共和国に無事帰還いたしましたことを大変嬉しく思います。
金井宇宙飛行士は、医師であるバックグラウンドを活かし、ミッションテーマである「健康長寿のヒントは宇宙にある。」の下、数多くのミッションを確実に遂行してまいりました。特に、アルツハイマー型認知症や糖尿病の発症の要因のひとつとして知られるアミロイド線維の宇宙実験では、アミロイド線維が形成する条件の探索に成功し、線維が伸長する機構解明への道筋をつけました。また、遺伝子欠失マウスと野生型マウスの軌道上飼育・分析技術を確立しました。この技術により、筋肉・骨の変化を遺伝子レベルで比較分析できるようになり、創薬へのヒントとなることが期待されます。
2月には、土井宇宙飛行士、野口宇宙飛行士、星出宇宙飛行士に次ぐ日本人飛行士4人目となる船外活動でISSロボットアームに関わるメンテナンス作業を担当し、4月にはそのロボットアームを操作して米国ドラゴン補給船を把持するなど、ISSの着実な運用に貢献しました。
さらに、国連宇宙部との連携協力(KiboCUBE)第1号となるケニア初の超小型衛星の放出や、第2回国際宇宙探査フォーラム会合で米露の宇宙飛行士とともに、また日露首脳会談でロシア飛行士とともに両国首脳と交信を行うなど、金井宇宙飛行士のISS長期滞在を通じて、ISS計画が国際協力・協調の成功例であることや、その中で日本が欠かせない存在であることを世界へ発信しました。
帰還後は、滞在中に得た経験を、2019年から2020年に長期滞在を控える野口宇宙飛行士、星出宇宙飛行士につなげるとともに、ISS・「きぼう」等の地球低軌道利用の拡大や、月探査などの国際宇宙探査の技術開発・国際協力に反映していくことを期待しております。
今回の金井宇宙飛行士の任務完遂に際して、ご支援いただいた国民の皆様、国内関係機関、並びに米国航空宇宙局、ロシア国営宇宙公社ロスコスモスをはじめとする国外関係機関の皆様に厚く御礼申し上げます。
平成30年6月3日
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構
理事長 山川 宏
野口聡一宇宙飛行士のコメント
金井宇宙飛行士、国際宇宙ステーションでの長期滞在成功、おめでとうございます。
金井さんのミッションテーマである「健康長寿のヒントは宇宙にある。」のとおり、アミロイド線維の機構解明のための繊維成長実験や遺伝子欠失マウスの軌道上飼育の技術で目覚ましい成果を出され、我々もとても誇らしく感じております。
また日本人飛行士4人目となる船外活動、国連宇宙部との連携協力(KiboCUBE)第1号となる超小型衛星の放出など、金井さんの宇宙飛行士としての技量も遺憾無く発揮されました。金井さん自身の宇宙飛行士としての国際的な評価も高まったことでしょう。
帰還後は、まずはご家族とゆっくり過ごしてリハビリテーションに努めていただき、その後滞在中に得た経験を日本の皆さんに伝えて下さい。ではヒューストンでお会いするのを楽しみにしております。
平成30年6月3日
JAXA宇宙飛行士
野口 聡一
星出彰彦宇宙飛行士のコメント
金井宇宙飛行士の無事帰還、そして長期滞在ミッションの成功を大変うれしく思います。
金井宇宙飛行士は、国際宇宙ステーション(ISS)第54次/第55次長期滞在ミッション中、アルツハイマー病などの原因解明を目指した線維成長実験や、微小重力などの宇宙ストレスを詳細に調べるための小動物の軌道上飼育、ケニア初の超小型衛星の放出など多岐にわたる実験に加え、ISSロボットアームの保守に関わる船外活動やISSロボットアームを操作してのドラゴン補給船把持などISS運用に関わる重要な作業を行いました。私もNASAジョンソン宇宙センターにおいてミッションの運用や計画調整などの支援に携わらせていただきましたが、確実な作業は関係者の間で高く評価されました。
金井宇宙飛行士の大車輪の活躍に、私自身も刺激を受けました。金井宇宙飛行士には久しぶりの地球をじっくり味わってもらいつつ、将来の宇宙探査に向けてISSでの知見・経験の共有など、帰還後の活躍も期待しています。
平成30年6月3日
JAXA宇宙飛行士
星出 彰彦