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衛星によるインフラ変位監視ツールの
国土交通省 新技術情報提供システム(NETIS)への登録について

2019年(令和元年)7月12日

国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構

 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発した『衛星SARデータによるインフラ変位監視ツール』(ANATIS[アナティス])※1 が、この度、国土交通省が公共工事等での新技術の利活用促進のために運用している新技術情報提供システム(NETIS[ネティス])※2 へ7月8日に登録※3 されましたので、お知らせいたします。

 近年、我が国のインフラの老朽化が進み、重大な事故リスクの顕在化、維持管理コストの急激な高まりや点検技術者の減少が社会課題となっています。そのような中、現在、長大な河川堤防、広大な港湾、空港などは目視により定期的に点検(例えば河川堤防は、5年以内に1回、200m間隔で定期測量)※4 されていますが、衛星データを利用することにより、これらインフラを広域かつ高頻度で監視することができるようになり、点検の効率化や定期測量の空間的・時間的な補完が可能となります。

 ANATISは、陸域観測技術衛星「だいち2号」(ALOS-2)※5 の観測データの自動解析ツールであり、これを用いることで、衛星に関する専門知識がなくても衛星データを使ったインフラモニタが可能となります(図1)。また、今回NETISに登録されたことによりインフラを管理する国・自治体等における点検作業の効率化とともにコスト縮減が図られ、インフラの点検に従事する事業者による利用が促進されることが期待できます。

図1

図1. 衛星SARデータによるインフラ変位監視ツール(ANATIS)の概要


図2

図2. LバンドとXバンドのSAR画像の比較
(Lバンドでは、電波の透過性に優れているため芝生に隠れた滑走路が確認できる)

※1 JAXA 衛星SARデータによるインフラ変位監視ツール(ANATIS; Automated Nationwide Application of Timeseries InSar)
ANATISは、予防保全によりインフラの維持管理を低コストで実現することを目的に、内閣府戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)事業(2014年度から2018年度)※6 の一環で、河川堤防、港湾、空港を対象にインフラ変位を高精度に検出する技術として開発しました。
このシステムには「だいち2号」(ALOS-2)搭載のLバンド合成開口レーダ(SAR)のデータを用います。LバンドSARは、電波の透過性に優れており、芝生に覆われた堤防の変位等、草木等を透過したインフラの確認が可能です(図2)。
※2 国土交通省 新事業情報提供システム(NETIS; New Technology Information System)
民間企業などにより開発された有用な新技術の活用促進を公共事業において積極的に活用していくことを目的として、国土交通省が運用する情報公開システムであり、「新技術」はNETISに登録されるとその申請情報と評価技術が公開・共有化されます。平成10年度より運用が開始され、平成13年度よりインターネットで一般に公開され、様々な新技術の情報を誰でも容易に入手することが可能となっています。
http://www.netis.mlit.go.jp/NetisRev/Explanation/MainExplanation.asp
※3 NETISにおけるANATISの公開は7/18の予定。
※4 河川定期縦横断測量業務実施要領・同解説
https://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/lp_kentoukai/dai01kai/dai01kai_siryou5.pdf
※5 「だいち2号」(ALOS-2)
http://www.satnavi.jaxa.jp/project/alos2/
※6 内閣府 戦略的イノベーション創造プログラム
https://www8.cao.go.jp/cstp/gaiyo/sip/

【その他参考資料】
https://www8.cao.go.jp/space/comittee/27-minsei/minsei-dai26/gijisidai.html
資料3-1、3-2 衛星を活用したインフラ点検作業の効率化について(宇宙航空研究開発機構)

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