ベトナム向け地球観測衛星「LOTUSat-1」の
イプシロンロケットによる打上げ受託について
2020年(令和2年)6月12日
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、日本電気株式会社(NEC)が開発・製造するベトナム向け地球観測衛星「LOTUSat-1(ロータスサット・ワン)」をイプシロンロケットに搭載して内之浦宇宙空間観測所から打ち上げることについてNECとの間で受託契約を締結しました。本打上げは2023年を予定しており、イプシロンロケットとして海外衛星ペイロードの打上げを受託したのは初めてです。
イプシロンロケットは、我が国がペンシルロケットから60年以上にわたり蓄積してきた固体燃料ロケット技術を結集させたロケットであり、現在JAXAではH3ロケットとのシナジー効果を発揮させて国際競争力を強化することを目的に「イプシロンSロケット」(※1)プロジェクトを進めています。「LOTUSat-1」はこのイプシロンSロケットプロジェクトの実証機で打ち上げる予定です。
(※1)別紙1:イプシロンSロケット概要
別紙1
イプシロンSロケット概要
イプシロンロケットは、我が国がペンシルロケットから60年以上に渡り蓄積してきた固体燃料ロケット技術を結集させたロケットであり、宇宙基本計画(平成28年4月1日閣議決定)において我が国の基幹ロケットに位置付けられています。
これまでの開発成果をもとに、現在開発中の大型液体ロケットであるH3ロケットとのシナジー効果を発揮させ、打上げコスト低減と基幹ロケットの高い信頼性との両立や衛星の運用性向上等により国際競争力を強化することを目的としたロケットであり、これを民間事業者が主体的に打上げ輸送サービス事業として担っていく体制を構築し、今後需要の拡大が予測される小型・超小型衛星の打上げ市場への本格参入を目指しています。
【ロケットの概要】
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打上げ能力
SSO軌道:600kg以上(高度350~700km)(エクストラ目標:800kg以上(高度350km))
LEO軌道:1,400kg以上(高度500km、軌道傾斜角31.1deg) - 複数衛星打上げに対する拡張性を確保
- 軌道投入精度:高度誤差±15km以下、軌道傾斜角誤差を±0.15deg以下
- 衛星搭載環境:世界トップレベルの音響・振動・衝撃環境
- 標準打上げ価格:世界の小型衛星打上げ市場で競争可能な価格帯
- 打上げスロット:3か月に2機以上打上げ可能
- 契約から打上げまでの期間:12か月以内
- 衛星受領から打上げまでの期間:10日以内
- レイトアクセス(打上げ前の搭載衛星へのアクセス):打上げ3時間前まで対応可能
図:イプシロンSロケットのイメージ(©JAXA)