2021年（令和3年）1月14日

国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構

 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構（JAXA）と国連宇宙部（UNOOSA）は、2015年より、国際宇宙ステーション（ISS）「きぼう」日本実験棟からの超小型衛星放出の機会提供に関する連携協力（KiboCUBE）を進めています。
 第5回募集（応募期間：2019年3月26日～2019年9月30日）に応募いただいた提案についてJAXAと国連宇宙部が共同で審査を行った結果、中米統合機構（加盟国：コスタリカ、グアテマラ、ニカラグア、パナマ、エルサルバドル、ベリーズ、ホンジュラス、ドミニカ共和国）の提案を選定しましたので、お知らせいたします（※1）。本連携協力において国際機関からの提案が選定されたのは初めてです。

 JAXAと国連宇宙部は、KiboCUBEを通じ、発展途上国の宇宙技術の能力構築および人材育成に貢献してまいりました。この度、その意義を鑑み、2024年12月末まで本連携協力を継続・発展させていくことに合意し、第6回の公募を開始いたしましたので、併せてお知らせいたします（※2、※3、※4）。

 JAXAは、本連携協力の継続により、「きぼう」の利用促進を図るとともに、宇宙分野における国際貢献の取り組みの一つとして、持続的な開発目標（SDGs）の目標4「質の高い教育をみんなに」、目標8「働きがいも経済成長も」、及び目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」の達成に貢献してまいります。

 以下のホームページをご覧ください。
https://www.unoosa.org/oosa/en/ourwork/psa/hsti/kibocube/2020.html 外部リンク

連携協力の継続および第6回の公募開始については、国連宇宙部およびUAE宇宙機関共催のオンライン会合「World Space Forum 2020」（12月10日開催）において発表いたしました。
以下のホームページをご参照ください。
https://www.unoosa.org/oosa/en/ourwork/world-space-forum/2020/world-space-forum-2020.html外部リンク

JAXA
小川志保　有人宇宙技術部門きぼう利用センター長
 複数の国々が参加するSICAの小型衛星ミッションに協力できることは、宇宙への扉を拓く「きぼう」利用とKiboCUBEプログラムの価値を提示するものとして、非常にうれしく思います。
KiboCUBEの5回の衛星放出委機会提供の募集を通じて、これまで東南アジア、中米、アフリカという幅広い地域の宇宙技術の能力構築や人材育成につなげてまいりました。今後も国連宇宙部が有する幅広いネットワークを活用し、「きぼう」の持つ優れた能力やJAXAの技術を活かして、打上げ手段を持たない国や地域における宇宙技術の向上に貢献していきたいと思います。

UNOOSA
Simonetta Di Pippo, Director of UNOOSA
 The KiboCUBE programme is an essential component of our Access to Space 4 All Initiative, that offers a range of opportunities to make space exploration truly inclusive. We are excited to see KiboCUBE continuing to break glass ceilings in the space sector. The selection of this team, which brings together several Central American countries, shows how important international collaboration is to advance space capabilities. We are confident this satellite will make a difference for the future of space exploration in the region.
（仮訳）
 KiboCUBEは国連宇宙部のイニシアチブ“Access to Space 4 All”の不可欠な要素であり、宇宙探査を広く世界に開かれたものとするために様々な機会を提供しています。
 KiboCUBEが、宇宙業界にこれまで存在していたガラスの天井を破っていくのは非常に感慨深いものです。今回、中米の数か国の共同チームの提案を選定したことは、宇宙開発を進めるために、国際協力がとても重要であることを示しています。
 Morazanプロジェクトが、中米地域の宇宙開発に確かな変革をもたらすであろうことを確信しています。

SICA
Carlos Enrique Alvarado, Morazan Project Coordinator, SICA:
 We are honored and excited to receive the support from JAXA and UNOOSA in this historic endeavor. The Central American region will face important challenges during the upcoming decades under the effects of climate change that will require the development of space capacities. Morazan Project will contribute to this goal and will demonstrate the value of international cooperation.
（仮訳）
 この歴史的なプロジェクトにおいて、JAXAおよび国連宇宙部からの支援をいただけることはとても光栄です。中米地域の国々は、今後数十年の間に気候変動の影響による様々な困難に直面することが予想されており、これに対処していくためには宇宙技術の活用が不可欠です。私たちはMorazanプロジェクトを通じてその解決を目指し、併せて国際協力の価値を証明したいと思います。

Vinicio Cerezo, Secretary General of SICA and former President of Guatemala:
 We are pleased to have been selected by JAXA and UNOOSA to participate in the fifth round of the KiboCUBE program, this is the result of the progress that we are making in the Central American region for further development in science, technology and innovation. The sky is no longer the limit for Central America, with the use of geospatial tools we have a great potential to transform the living conditions of our population and strengthen the national governance by making political decisions based on science.
（仮訳）
 今回、JAXAおよび国連宇宙部により、KiboCUBEプログラムの第5回に選定されたことを嬉しく思います。これは、中米地域における科学技術、イノベーションの発展を裏付けるものです。今後、中米地域の国々は、空から宇宙へとその活動を広げていきます。特に、地理空間ツールを使うことにより、私たちは自身の生活を変革し、また科学的根拠に基づいた政治的決定を通じてガバナンスを強化することができるようになると考えています。