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小惑星探査機「はやぶさ2」による小惑星「トリフネ」フライバイの時刻決定

2026年(令和8年)6月9日

宇宙航空研究開発機構

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、小惑星探査機「はやぶさ2」の小惑星「トリフネ」フライバイの時刻について、以下のとおり決定いたしましたので、お知らせいたします。

【小惑星「トリフネ」へのフライバイ】※1

予定日 2026年7月5日(日)
予定時刻 18時30分頃(日本時間) ※2
  1. ※1:小惑星の中心からの距離1km程度を、秒速約5km(トリフネに対する相対速度)にてフライバイ探査をおこなう予定。
  2. ※2:時刻は運用状況によって前後する場合がある。

小惑星探査機「はやぶさ2」について

 小惑星探査機「はやぶさ2」は、2014年12月にH-IIAロケット26号機によって打ち上げられました。2018年6月に小惑星「リュウグウ」に到着し、世界で初めて小天体表面への人工クレーター形成などの成果を挙げるとともに、2020年12月に地球へ帰還し、小惑星表面物質のサンプルリターンに成功しました。「はやぶさ2」は、その後、「拡張ミッション」として継続して運用されており、2026年7月5日に小惑星「トリフネ」の近くを通過して観測するフライバイ探査を行います。フライバイ探査では、高精度な軌道誘導技術の実証を行い、小惑星への意図的な軌道変更に応用可能な技術の蓄積を目指しています。そして最終目的地の小惑星「1998 KY26」に2031年に到着(ランデブー)して、探査を行うことを目指しています。これらの取り組みは、将来的な小惑星衝突リスク低減に貢献する「プラネタリーディフェンス(地球防衛)」の観点からも重要な役割を担うものです。

小惑星「トリフネ」について

 小惑星「トリフネ」(仮符号※3 :2001 CC21)は地球接近小惑星(NEO:Near-Earth Object)の1つで、直径500メートル程度の細長い形状をしていると推定されています。「はやぶさ2拡張ミッション」の最終目的地である小惑星「1998 KY26」へ向かう途中でフライバイ探査が可能であること、また「トリフネ」はL型小惑星※4とされ、リュウグウのようなC型小惑星※5とは異なる特徴を持つと考えられていることなどの理由から、今回フライバイ探査の対象として選ばれました。その後の観測により、「トリフネ」は小惑星イトカワと同様にS型小惑星※6であるという結果が得られていますが、S型であったとしても、その観測データは地球接近小惑星の多様性や進化の過程を理解する上で貴重なものとなります。
 「トリフネ」という名称は公募によって決められました。日本神話における神や神が乗る船の名前が由来で、「はやぶさ2」が高速でこの小惑星とすれ違うフライバイ探査を安全に行うことができるよう願って付けられました。

  1. ※3:小惑星は、発見されて軌道が推定されると、識別のために仮符号と呼ばれる記号が付与される。仮符号は、小惑星の発見の順番を示すものである。
  2. ※4:S型に似ているが、スペクトルがわずかに異なるもの。
  3. ※5:岩石でできた小惑星で、その成分に炭素が多い。「はやぶさ2」が探査した「リュウグウ」がこのC型小惑星に該当する。
  4. ※6:岩石でできた小惑星で、その成分に炭素が少ない。「はやぶさ」が探査した「イトカワ」がこのS型小惑星に該当する。
小惑星「トリフネ」をフライバイする小惑星探査機「はやぶさ2」(想像図) (©池下章裕)
©池下章裕 小惑星「トリフネ」をフライバイする小惑星探査機「はやぶさ2」(想像図)

プラネタリーディフェンス(地球防衛)について

 プラネタリーディフェンス(地球防衛)とは、地球に接近する小惑星などを早期に発見、監視して衝突の恐れがある場合には対策を講じて被害を未然に防ぐ取り組みです。小惑星の接近は国を超えた全人類の脅威となるため、国連を中心とした国際協力により進められています。「はやぶさ2」においては主に次の3つの観点からプラネタリーディフェンスに貢献します。

  1. (1)高速フライバイ運用
    2026年7月5日の小惑星「トリフネ」へのフライバイでは、小惑星の中心からの距離1km程度を、秒速約5km(トリフネに対する相対速度)の超高速で通過(フライバイ)する予定です。この運用には、非常に正確な探査機ナビゲーション技術が必要です。この技術の獲得は、探査機を小さな天体へ正確に命中・衝突させる技術の基盤となります。
  2. (2)高速フライバイ観測
    「はやぶさ2」のように、本来は別の目的のために開発された探査機を活用し、高速フライバイによって小惑星の情報をどこまで取得できるかを検証することは、将来、地球衝突の可能性がある天体が発見された際に実施される緊急探査の模擬になります。その成果は、今後のプラネタリーディフェンスのあり方を検討する上で重要な知見となります。
  3. (3)超小型小惑星の探査
    2031年には直径わずか30mまたは、それに満たないと推定される超小型・高速自転小惑星である「1998 KY26」に到着し、世界初のランデブー探査を行う予定です。このような小型天体は、数十年に1度程度の頻度で大気圏を突破して地上に衝突するリスクがあるため、その物理的な性質(一つの岩なのか岩が集まったものなのか等)を把握することは、将来の衝突回避策において極めて重要なデータとなります。

「はやぶさ2」の打上げから現在に至るまでの実績

2014年12月3日 H-IIAロケット26号機により種子島宇宙センターから打上げ
2015年12月3日 地球スイングバイを実施
2018年6月27日 小惑星「リュウグウ」に到着
2019年~ 小惑星「リュウグウ」にて複数回のサンプル採取
人工クレーター作成を実施
2019年11月13日 小惑星「リュウグウ」を出発
2020年12月6日 小惑星「リュウグウ」のサンプル入りのカプセルを地球に帰還
「はやぶさ2」本体は地球を離脱し、延長運用へ移行
2020年12月 「はやぶさ2拡張ミッション(はやぶさ2♯(シャープ))」が本格始動。
2022年6月28日 小惑星「2001 CC21(後のトリフネ)」へ向けた本格航行を開始
2022年7月 プロジェクト体制が「はやぶさ2♯」へ正式移行
延長探査フェーズとして継続運用を開始

「はやぶさ2拡張ミッション」の今後の予定

2026年7月5日 小惑星「トリフネ」フライバイ
2027年12月 地球スイングバイ
2028年6月 地球スイングバイ
2031年7月 小惑星「1998 KY26」に到着(ランデブー)

以上

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