2022年(令和4年)4月理事長定例記者会見

理事長定例記者会見

山川理事長の定例記者会見のトピックスをお伝えします

日時:2022年(令和4年)4月15日(金) 13:30-14:15

場所:オンライン会見

司会:広報部長 佐々木 薫

 2022年度1回目の定例会見となります。
 今年度の開始にあたり、役員人事についてご紹介いたします。
 主に研究開発部門、航空技術部門を担当いただいた張替正敏前理事の退任に伴い、その後任として、佐野 久理事を任命いたしました。また、佐野理事が昨年度まで務めておりました副理事長には、新たに鈴木和弘副理事長を任命いたしました。その他の理事には変わりございません。この新体制で、引き続き職務にあたってまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

1.米国出張の報告について

 先週一杯、米国へ出張してまいりました。
 まず、4月4日(月)から6日(水)にかけまして、「第37回スペースシンポジウム」に出席いたしました。本シンポジウムは、アメリカのコロラド州コロラドスプリングスにおいて毎年開催されている、米国最大の宇宙関連シンポジウムです。
 私は、宇宙機関長セッションにアメリカ、ヨーロッパ、カナダの7名の宇宙機関長とともに登壇しました。私からは、日本はGateway への生命維持装置の提供や HTV-Xを活用した物資輸送で貢献すること、「はやぶさ2」による小惑星リュウグウのサンプルのカタログ公開と国際公募を実施中であること、NASA・欧州宇宙機関(ESA)・フランス国立宇宙研究センター(CNES)・ドイツ航空宇宙センター(DLR)との協力ミッションである火星衛星探査計画(MMX)を 2024 年打上げに向けて準備を進めていること、さらにアストロスケール社とともに推進中の商業デブリ除去の技術実証(CRD2)等の取り組みについて紹介するとともに、今後ますます、国際パートナーや民間パートナーとの連携が重要となってくる旨を発言いたしました。
 その他、持続的な地球低軌道(LEO)拠点の深宇宙探査への貢献、平和で協力的な宇宙利用の確保のための国際的な行動規範、さらに新興国との連携に向けた取組み等について質疑応答が行われました。
 NASAやESAをはじめとする各国の宇宙機関や政府機関等との会談を実施し、強固な協力関係を確認するとともに、将来に向けた協力の可能性についての意見交換を行うことができました。

 また、JAXAは、日本の宇宙産業の海外展開を促進することを目的に、民間企業と共同で展示を実施しました。コロナの影響で2019年以来3年ぶりとなりました今回の展示では、11社の日本企業の参加を得て、Japan Boothとして共同出展し、日本の宇宙産業の最新の取り組みを世界に発信しました。
 今回のスペースシンポジウムへの参加を通じまして、海外におけるJAXAのプレゼンスを十分に発揮できたものと考えております。

 さらに、今回の渡米の機会を利用し、ワシントンD.C.にあるNASA本部を訪れ、NASA ネルソン長官との会談を行いました。ネルソン長官が昨年着任されて以降、初めて対面することができ、両機関間の更なる協力関係の強化や国際協力の重要性など、大変重要な議題について直接対話することができました。

2.最近の「きぼう」利用成果

 新たな宇宙飛行士候補者募集につきましては、4月4日正午に終了いたしました。
 既にプレスリリースにてお伝えしたとおり、最終的な応募総数は 4,127名となりました。
 多くの皆さまからご応募いただき、前回2008年の963名から約4.3倍と大きく上回り、大変嬉しく思います。女性のご応募も、前回は13%でしたが、今回は22.3%となりました。
 4,127名の中から、国際宇宙ステーション、「きぼう」日本実験棟、月周回有人拠点「ゲートウェイ」、そして月面での活動を想定した、アルテミス世代にふさわしい宇宙飛行士が選ばれることを、楽しみにしているとともに、改めて責任感をもって選抜を進めてまいります。

 国際宇宙ステーション(ISS)「きぼう」日本実験棟におきまして、実験等の利便性向上を目指したシステムを構築し、稼働しましたので、ご紹介いたします。
「きぼう」利用に関しては、これまでも民間企業による利用拡大を推進しておりますが、企業の皆様に、よりご利用いただきやすい環境をご提供するものになります。

「きぼう」船外実験プラットフォームには、現在では、民間企業のミッション機器も多く設置されるようになりました。一つの例を申し上げますと、中型曝露実験アダプター(i-SEEP)を設置し、これを利用した実験機会等の提供を行っております。i-SEEPは、ミッション機器を取り付けるベースとなる機器で、実験運用中には、ミッション機器に必要な電力や通信機能等を提供しています。このミッション機器運用においては、これまでは、ユーザーの皆様に筑波宇宙センターへお越しいただき、「きぼう」運用管制員とユーザーの皆様が、同じ施設内で調整しながら運用を行っていました。
 今回構築いたしました「きぼう」船外ミッション外部運用管理システムは、ユーザー自身のオフィスや研究室等の希望する場所からネットワークを介して、ユーザー自身が操作指令を出してミッション機器の運用を可能とするもので、いわば「きぼう利用のリモートワーク」化といえます。また場所だけでなく、ユーザー自身のスケジュールに合わせた柔軟な運用、さらには急な運用変更にも迅速に対応が可能となるなど、利便性の向上を実現しています。

 今後も、ユーザーのご意見に耳を傾け、利用促進に必要となるインフラの整備、高機能化を進め、民間企業をはじめユーザーの皆様のニーズに応えられるよう運用環境を整えてまいります。

3.H3ロケット第1段エンジン燃焼試験の状況について

 H3ロケットの第1段エンジンとして新たに開発を進めているLE-9エンジンについて、ターボポンプで発生した配慮すべき事項について、1月にご説明したとおり、引き続き対応策を複数案検討しております。

 複数の対応策のうち、一つ目の策について検証を行うことを目的とした翼振動試験を、種子島宇宙センターにて3月23日3月30日の2回を実施しました。

 これまで実施した2回の試験において、一定の必要なデータが取得できたため、取得したデータの詳細評価および供試体の点検を進めているところです。

 供試体点検が終わり、次の試験の準備が整えば、二つ目の対応策の検証を主とした翼振動試験を実施する予定です。5月には次の試験を実施することを目指して準備を進めています。

4.「新しい働き方」の導入

 JAXAでは、社会に対して新しい価値を提案できる組織であるためには、「ひと」を生かせる職場環境が重要と考え、職員・パートナーのワークライフバランスの向上に取り組んでまいりました。コロナ禍でのリモートワークなどの経験を生かし、更に働き方改革を加速させるべく、先進的な勤務制度の第一弾として、昨年2021年10月から「新しい働き方(その1)」をスタートさせました。具体的には、テレワーク勤務の回数や場所の制限の撤廃、フレックス勤務の条件の緩和、一斉休憩の廃止など、働き方における「時間」と「場所」のフレキシビリティを大幅に向上させました。
 その後、概ね全社平均5割を超えるテレワーク実施率で推移したことから、この4月より「新しい働き方(その2)」として、通勤手当に関して、原則、定期券相当額の支給方法から、出勤回数に応じた支給方法に見直し、加えてリモートワークの定着・促進の観点から、新たにテレワーク手当を創設しました。

 こうした働き方改革は、多くの政府系法人に先駆けて行ったものとなり、先進的な民間企業と比べても、そん色のない勤務制度になったと自負しております。他法人等からも多くの問い合わせをいただいているところです。

 これら諸制度の導入により、基礎研究から大規模なプロジェクトまで、多種多様な研究開発活動を行うJAXAにおいて、それぞれの職員の職種や業務内容に応じた働き方と、出産・育児・介護、難病治療の通院、リカレント教育などの自己啓発、起業などの兼業といった、ライフイベントやライフステージ、キャリア設計との両立を図ることが可能となります。組織全体のワークライフバランス向上は、女性活躍推進に寄与するだけでなく、多様な人材の確保につながると考えております。

 引き続き、職員・パートナーの働きやすい職場環境や勤務制度の改善に取り組んでまいります。

5.SDGsへの取り組み

 この度、JAXAでは、宇宙航空分野における研究開発事業を通じたSDGsへの貢献を一層進めるため、SDGsに関する基本的な取り組み方針を制定し、担当理事を指名することにいたしました。

 JAXAはこれまでも、日本政府の方針に沿って、事業を通じたSDGsへの貢献に積極的に取り組んでまいりました。政府の主要な取り組みを掲げた「SDGsアクションプラン」には、地球観測衛星データによる環境監視や、「きぼう」日本実験棟での創薬研究や地上での応用などの事業が掲載されております。
 特に、昨今、コロナ禍による生活様式の大きな変化、世界的な脱炭素社会構築への関心の高まり、サステナビリティ経営の主流化によるESG(環境・社会・統治)投資活動の活発化などの後押しにより、社会のSDGsに対する動きが、急激に加速しています。民間企業においても、SDGsを取り込んだ経営戦略を策定する例を、多く目にするようになりました。
 JAXAでもこの時流を受け、今こそ、基礎研究から開発・利用に至るまで一貫して行う組織の強み、事業を通じてSDGsへの取組を強化する時と考えております。また同時に、産・官・学界のパートナーの皆様に加えて、広く多くの皆様にご理解をいただき、志を共にする方々との連携の輪を広げてまいります。2030年までに必要とされる大きな変革においては、宇宙航空の取り組みをとおして、その実現を少しでも加速できるのではないかと考えております。

 今年度4月1日付で、「SDGs推進担当」に指名いたしました石井理事より、JAXAの方針や取組の詳細につきましてご説明いたします。

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