2023年(令和5年)9月理事長定例記者会見

理事長定例記者会見

山川理事長の定例記者会見のトピックスをお伝えします

日時:2023年(令和5年)9月29日(金) 13:30-14:15

場所:JAXA東京事務所 B1F プレゼンテーションルーム

司会:広報部長 佐々木 薫

 この夏も、航空宇宙分野における話題が国内外で活発だったと認識しております。JAXAに関連する主なトピックスを申し上げますと、皆さんにも報道等で多く採り上げていただきました、古川宇宙飛行士の国際宇宙ステーション長期滞在開始や、H-IIAロケット47号機によるX線分光撮像衛星(XRISM)と小型月着陸実証機(SLIM)の打上げがございました。
 軌道上の古川宇宙飛行士は精力的に各種ミッションを進めていると報告を受けております。2019年よりバトンを繋いできた「次世代水再生技術実証システム」は全ての技術実証を完了し、最後の試料の採取も無事に終えたと報告があり、国際宇宙探査時代に向けて一歩前進することができたと考えております。
 今後もおこなっていくさまざまな軌道上実験の詳細状況につきましては、有人宇宙技術部門のウェブサイトでお知らせしてまいります。古川飛行士は、引き続き着実に、各種ミッションを進めてくれると期待しております。
XRISMにつきましては、約3か月の初期機能確認運用期間として、搭載機器の機能確認を進めております。SLIMも地球周回運用期間として搭載機器の機能確認を行いつつ、月遷移軌道への投入に向けた準備を行っています。それぞれ運用は順調に進んでおります。
 また先日9月24日には、アメリカ航空宇宙局NASAの小惑星探査ミッションOSIRIS-RExによるベヌー(Bennu)試料が地球に帰還し、帰還カプセルが回収されました。回収オペレーションが滞りなく行われる様子を拝見し、NASA関係者の皆様に敬意を表したいと思います。試料は現在、ヒューストンのNASAジョンソン宇宙センターにてキュレーション作業が行われております。JAXAとNASA間の覚書により「はやぶさ2」リュウグウ試料との交換として、ベヌー試料の一部はJAXAにも配布される予定です。JAXAとしても受け入れ準備を進めてまいりたいと思います。

1. H3原因究明状況・開発状況、イプシロンS開発状況など

 H3ロケット試験機1号機の原因究明につきまして、2段エンジンのエキサイタ、もしくは2段推進系コントローラ(PSC2)の短絡等により2段エンジンが不着火となったと評価し、本事象発生に至る背後要因分析を踏まえた対策の方向性を9月25日の文部科学省の調査・安全小委員会へ報告いたしました。委員からいただいたご指摘を踏まえ、H3ロケット試験機2号機の確実な打上げに向け対策を進めてく予定です。

 H3ロケット試験機2号機以降に向けたLE-9エンジンについて、認定燃焼試験の前半を8月10日から3回実施し、現在取得したデータの詳細評価、および試験用エンジンの確認を進めております。今後、試験機2号機に搭載するLE-9エンジンの領収燃焼試験を10月に実施し、その後、認定燃焼試験の後半を実施する予定です。

イプシロンSロケット第2段モータ地上燃焼試験における爆発・火災事故の原因究明につきまして、要因である「推進薬燃焼異常」と「インシュレーション断熱不良」について爆発に至ったシナリオを2つに絞り込みました。今後は解析と試験による検証を行い、原因の更なる絞り込みを行う予定です。

2. 第29回アジア・太平洋地域宇宙機関会議(APRSAF-29)開催結果

 9月19日から22日までの4日間、インドネシア・ジャカルタにて、「パートナーシップで広げる宇宙経済」をテーマにした、第29回アジア・太平洋地域宇宙機関会議(APRSAF-29)が開催されました。27の国と地域から約500名以上の参加があり、官民による活発な交流が行われました。

 前半の2日間は、5つの分科会、すなわち「衛星利用」、「宇宙教育」、「宇宙能力向上」、「宇宙フロンティア」、「宇宙法政策」の分科会と「宇宙産業ワークショップ」が開催されました。また、後半の2日間は各国の宇宙機関の機関長や代表者が参加する本会合を開催しました。最終日には、これらの取り組みに加え、本会合での各セッションの成果と各国の宇宙機関長によるスピーチの結果をまとめた共同声明が採択されました。共同声明では、宇宙経済の促進、持続可能な宇宙活動の実施、気候変動の影響の最小化や防災がアジア太平洋地域の共通的な課題・関心事項として共有されるとともに、官民の多様なパートナーシップや宇宙経済の強化に資する次世代の育成の重要性について確認されました。

 今回のAPRSAFは、「宇宙産業ワークショップ」に過去最大の290名を超える参加登録がありました。APRSAFが「民間企業と宇宙機関」または「民間企業と政府」、そして「民間企業同士」が交流できるネットワーキングの場として期待され、定着しつつあると感じております。

 さらに、会期中に参加各国の宇宙機関長とも会談を行いました。開催国のインドネシア国家研究イノベーション庁(BRIN)との会談では、JAXAとBRIN間の平和目的のための宇宙協力に関する協力覚書の署名を行いました。

 今後も、APRSAFが政府、宇宙機関、産業界、大学等の多様なプレイヤーが出会い、新たなパートナーシップを構築し、アジア・太平洋地域での宇宙経済の加速に貢献することを期待しているところです。
 なお、APRSAFはJAXA、文部科学省、そして開催国(持ち回り)の3つの機関の共催で実施されております。今回はインドネシアのBRINとの共催ということになります。
 2024年のAPRSAF-30はオーストラリア(パース)で11月26日~29日に開催される予定です。また、2025年のAPRRSAF-31は、フィリピンでの開催を予定しています。

最後に

 最後になりますが、週が明けると今年もはやいもので10月になります。JAXA創立の2003年10月1日から20年が経ちました。この20年間、報道メディアの皆様をはじめ多くの方々からのご支援、ご協力をいただきましたことに感謝申し上げます。今後も、JAXAが果たすべき責務を一つひとつ着実に実施してまいります。引き続きよろしくお願い申し上げます。

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