理事長定例記者会見
山川理事長の定例記者会見のトピックスをお伝えします
日時:2026年(令和8年)5月15日(金) 13:30-14:15
場所:JAXA東京事務所 B1F プレゼンテーションルーム
司会:広報部長 木下 圭晃
1. 最近のプロジェクト、事業などの取り組み
革新的衛星技術実証4号機/8機のキューブサット打上げ
「革新的衛星技術実証4号機」のうち、企業などの皆様からご提案いただきました8つのキューブサットは、4月23日に、ロケット・ラボ社のロケット「エレクトロン」にて打ち上げられ、8機すべての衛星が軌道投入されました。現在は、提案機関等により、それぞれの衛星の追跡・運用が進められております。
JAXAでは、これまで「革新的衛星技術実証プログラム」などいくつかの小型衛星関連施策を運用し、大学や研究機関、民間企業等が開発した部品や機器、超小型衛星などに宇宙実証の機会を提供してまいりました。
昨年2025年からは、よりタイムリーに、効率良く、宇宙実証の機会提供を目的としたJAXA宇宙技術実証加速プログラム「JAXA-STEPS」を立ち上げています。本プログラムを通じて、今後も小型衛星分野における裾野拡大に貢献してまいります。
H3ロケット6号機(30形態試験機)打上げに向けて
4月13日に開催された文部科学省宇宙開発利用部会調査・安全小委員会において、JAXAとして、H3ロケット8号機打上げ失敗の原因究明状況について報告いたしました。その報告を踏まえて、調査・安全小委員会において「中間報告書」としてまとめていただき、4月22日の宇宙開発利用部会にて、審議、決定をいただきました。翌日23日には、文部科学省H3ロケット8号機対策本部において、H3ロケットの打上げ再開に向けた原因究明や対策案が技術的に妥当である旨について、ご了承いただきました。
改めて、本原因究明結果を真摯に受け止め、日本の基幹ロケット・宇宙輸送システムに対する信頼回復に向けて、全力で取り組んでまいる所存です。
次のフライトとなるH3ロケット6号機(30形態試験機)打上げにおいても、衛星搭載アダプタ(PSS)の健全性を含めた機体の最終的な評価・点検を行うなど、確実な打上げに向けて、十分な検証と準備を行なうべく、JAXAはじめ関係企業の皆様と一丸となって取り組んでまいります。
これまでの原因究明にあたりましては、社内外の有識者、文部科学省、内閣府、関係機関・企業の皆様に、多大なご協力、ご支援を賜りました。また国民の皆様からも多くの叱咤激励をいただきました。この場をお借りして、深く御礼を申し上げます。
2. 国際協力に関する取り組み
ESAとの地球防衛に関する協力覚書(MOC)および地球接近小惑星アポフィス探査計画(RAMSES)の協力協定の締結
ESAとは、2024年11月に「将来大型協力に関する共同声明」への署名を行い、JAXAとESA両機関が長年にわたり、地球観測、有人宇宙、惑星探査をはじめ多分野での連携成果を生み出していること、また将来に向けた両機関の連携継続と拡大・深化の重要性を共有しました。
本共同声明に加えて、国連において2029年が「小惑星認識と惑星防衛の国際年」に設定されていることなども鑑み、両機関にて、地球防衛(プラネタリーディフェンス)を含む協力可能性の検討を、加速して行ってまいりました。
こうした背景のもと、5月7日に、ESAアッシュバッカー長官との間で、「地球防衛における協力を強化、促進するための協力覚書(MOU)と、「地球接近小惑星アポフィス探査計画(RAMSES)に関する協力協定」への署名を行いました。
プラネタリーディフェンスとは、地球に接近する小惑星等の天体を早期に発見し、軌道を精密に計算することで、地球への衝突可能性を評価するとともに、衝突の恐れがある場合には、その影響を回避・軽減するための対応策を検討・実行する国際的な取り組みとなります。
RAMSESは、プラネタリーディフェンス活動の一環として、2029年に地球に最接近する小惑星「アポフィス」の探査を目的としています。本ミッションは、将来の地球接近天体からの脅威に備えるための、科学的・技術的知見を獲得することを目指しています。
今回の協力協定締結により、RAMSESはESAとJAXAの共同ミッションとして位置づけられ、JAXAは日本の強みである、熱赤外センサによる観測技術と薄膜軽量太陽電池パドルの提供、H3ロケットによる打上げを通じて、本ミッションの実現に貢献してまいります。
JAXAは今後も、ESAをはじめとする海外宇宙機関や国際社会と連携し、プラネタリーディフェンスという人類共通の課題に対する取り組みに積極的に貢献してまいります。
ポーランド宇宙機関(POLSA)との潜在的な民生宇宙協力に関する共同声明の署名
4月15日には、ポーランド宇宙機関(POLSA)のマルタ・エヴァ・ヴァホヴィチ長官との共同声明に署名を行っております。なお、本共同声明は、4月にドナルド・トゥスク・ポーランド首相が来日された機会の成果文書の一つでもあり、日本・ポーランド両首脳による共同声明においても言及いただきました。
POLSAは2014年に設立された機関で、2027年に同国ポズナンで開催を予定している国際宇宙会議の主要ホスト機関でもあります。またポーランドは、ヨーロッパ内においても、宇宙関連ビジネスの成長が著しい国の一つでもあります。
このような背景のもと、POLSAとJAXAの連携を強化し、相互利益の創出などを目指し、宇宙分野での将来的な協力の可能性を探求することを目的とした対話を深めていきたいと考えております。
ベトナム国家宇宙センター(VNSC)と衛星データ交換に係る改訂協定の締結
最後は、ベトナム国家宇宙センター(VNSC)との連携に関する話題です。
VNSCとJAXAは、2017年に、陸域観測技術衛星「だいち2号」観測データの活用協力を推進する協定を締結し、災害対応や農林業分野での課題解決に取り組んでまいりました。
この度、「だいち2号」に加えて、その後継機となる先進レーダ衛星「だいち4号」の観測データ提供、活用協力を推進する改訂協定について、4月28日付で締結いたしました。5月2日には、日本・ベトナム首脳会談に合わせて、高市早苗内閣総理大臣およびレー・ミン・フン首相ご臨席の下、石井副理事長と、VNSC副所長のレ・スアン・フイ博士との間で、本協定の取り交わしを行っております。
今回の改訂により、ベトナムにおける水災害監視の強化、APRSAF(アジア・太平洋地域宇宙機関会議)の「環境のための宇宙利用イニシアチブ」の一環として、水田からのメタン排出削減に向けた衛星データ活用の研究協力などを推進してまいります。
本協力は、日本・ベトナム首脳会談で確認された優先協力事項における科学技術分野の筆頭に位置づけられており、ベトナムにおける災害監視や衛星データの行政・産業利用の拡大に貢献していきたいと考えております。