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2026年4月16日更新
極超音速実験機のマッハ5燃焼実験に成功
宇宙航空研究開発機構(以下、JAXA)は、早稲田大学、東京大学、慶応義塾大学との共同研究において、極超音速実験機のマッハ5燃焼実験に成功しました。この極超音速実験機は、日本学術振興会・科学研究費補助金の採択課題である「観測ロケットを用いた極超音速フライトテストベッドの構築と機体推進統合制御の実証」の一環として、国内の大学(早稲田大学、東京大学、慶應義塾大学)とJAXAの研究チームが設計・製作をしました。実験機をJAXA角田宇宙センター(宮城県角田市)のラムジェットエンジン試験設備に設置し、音速の5倍であるマッハ5で飛行している状態を模擬した風洞実験で、機体の耐熱性能、操舵翼の動作、ラムジェットエンジンの燃焼作動等を実証しました。マッハ5の飛行状態では、機体周囲の空気温度が1000℃程度になりますが、実験機の遮熱構造により、機体内部は常温程度に維持され、実験機を制御するための電子機器も正常に動作することが確認されました。また、耐熱構造の設計解析手法を検証するための機体表面温度分布の計測や、水素燃料を用いるラムジェットエンジンの排気が地球環境に与える影響を調べるための排気温度分布の計測等も実施し、将来の実用化に向けた貴重なデータを取得しました。
早稲田大学を中心とする国内大学の研究グループは、次の研究開発段階として、極超音速実験機を観測ロケット等に搭載してマッハ5程度の飛行実験を実施することを構想しています。この飛行実験によって極超音速飛行技術が確立されると、太平洋を2時間で横断できる「極超音速旅客機」や、高度100km程度に到達する「スペースプレーン」を実現することが可能になると期待されています。
©JAXA
極超音速実験機の燃焼実験(マッハ5飛行状態)
©JAXA
ラムジェットエンジンの燃焼作動
©JAXA
実験機の耐熱性能の測定
©JAXA
極超音速旅客機の構想図
2026年4月15日更新
革新的衛星技術実証4号機(小型実証衛星4号機)による低軌道衛星MIMO技術の軌道上実証実験を開始しました
宇宙航空研究開発機構(JAXA)(理事長:山川 宏、以下「JAXA」)は、NTT株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:島田 明、以下「NTT」)と世界初の「衛星MIMO※1技術を活用した920MHz帯衛星IoTプラットフォームの軌道上実証(図1)」に向け、革新的衛星技術実証4号機の小型実証衛星4号機(RAISE-4)※2に搭載している低軌道衛星MIMO/IoT伝送装置(LEOMI)※3の軌道上実証実験を開始しました。
近年、低軌道(LEO)衛星分野は世界的に急成長しており、2025年時点で地球周回中の衛星は1万機近くに達しています。これは10年前と比較して約10倍の水準です。 特にSpaceXやAmazonなどの民間企業が牽引し、国際競争が激化しています。 こうした背景の中、社会課題の解決につながる革新的な光ネットワーク・インフラの構築等の社会インフラ創出をめざし、2019年11月からJAXAの「宇宙機のシステム構築技術」とNTTの「光・無線ネットワーク技術」との掛け合わせにより、「地上と宇宙をシームレスにつなぐ超高速大容量でセキュアな光・無線通信インフラの実現」等に向けた共同研究※4に取り組んでいます。
「低軌道衛星MIMO技術」では、衛星から地上基地局への通信であるフィーダリンクにおいて、地上基地局の遠隔に配置した複数の受信アンテナに向けて、衛星から複数アンテナを用いたMIMO伝送を行い、地上基地局への受信信号の集約後、MIMO信号の同期およびチャネル推定を行い、信号の等化を行うことで、信号の多重伝送を実現します。本技術を確立することで、将来の衛星通信の抜本的な大容量化の実現が可能となります。これにより、衛星通信の伝送速度の向上や、収容端末数の大幅な増加に伴い、通信サービスの料金低減に寄与できます。また観測衛星への適用により、より高精細な画像・レーダー情報の取得が可能となり、気象情報、地形変化、海洋観測、災害予測などの観測精度の向上に寄与します。
RAISE-4は2025年12月14日12時09分(日本標準時、24時間表記)に打ち上げられ、LEOMIの軌道上での正常動作を確認するチェックアウト試験を終え、実証開始に必要な初期運用フェーズを完了し、定常運用を開始しました。定常運用では、開始後まもなくMIMO方式による信号処理が想定通り行われていることを確認しました(図2)。今後約1年間の実験を通して低軌道衛星MIMIO技術の確立を目指します。
- ※1MIMO(マイモ:multiple-input multiple-output)。無線通信において、送信機と受信機の双方が複数のアンテナで通信を行い、伝送容量を向上させるための技術
- ※2革新的衛星技術実証4号機(小型実証衛星4号機)特設サイト
- ※3低軌道衛星MIMO/IoT伝送装置(LEOMI)
- ※4NTTとJAXA、地上と宇宙をシームレスにつなぐ超高速大容量でセキュアな光・無線通信インフラの実現に向けた共同研究を開始
©NTT/JAXA
図1 「衛星MIMO技術を活用した920MHz帯衛星IoTプラットフォームの軌道上実証」のイメージ
©NTT/JAXA
図2 MIMO信号処理による受信信号点の干渉補償の様子
※信号点が4か所に収束している状態は、誤りなくデータ伝送が行われていることを意味します。
2026年3月5日更新
小型実証衛星4号機(RAISE-4)定常運用フェーズ移行
2025年12月14日に打ち上げられた「小型実証衛星4号機」(RAISE-4)は、初期機能確認運用フェーズを終え、定常運用フェーズに移行いたしました。
RAISE-4は、革新的衛星技術実証4号機の9機の衛星のうちの一つで、公募により選定された8つの実証テーマ機器を搭載し、軌道上で実証するための衛星です。
打上げからこれまで、電力・通信・姿勢制御など人工衛星としての基本機能を確認し、実証テーマ機器の実験を行う準備を進めてまいりました。
また、各実証テーマ機器においても、機能確認を進め、技術実証を開始しております。
機能確認の一環で撮影した膜面展開型デオービット機構 (D-SAIL)の展開を確認する衛星バス系カメラの撮影画像
左側に地球、右側に衛星の一部が映っています。(D-SAILは約1年後に展開を予定しており、未展開のため画像には映っておりません。)
RAISE-4は、これから約1年間の運用を予定しております。
搭載した各実証テーマ機器の成果にご期待下さい。
小型実証衛星4号機(RAISE-4) 搭載実証テーマ機器
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