科学観測用大気球 トピックス

トピックス一覧

2020年7月25日更新
大気球実験B20–04の実施終了について [マルチクロックトレーサーによる大気年代の高精度化]

国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、2020年7月25日(土)午前3時57分に、成層圏における大気サンプリングを目的として、2020年度気球実験の2号機を、連携協力拠点である大樹航空宇宙実験場より放球しました。この気球は満膨張体積100,000m3(直径約64m)の大型気球で、毎分およそ300mの速度で上昇しました。
気球は、放球2時間25分後に大樹航空宇宙実験場東方約42kmの太平洋上において高度35kmで水平浮遊状態に入りました。その後午前6時52分に指令電波により切り離された気球及び大気サンプラーは、大樹航空宇宙実験場南東約30kmの海上に緩降下し、午前7時38分までに回収船によって回収されました。

放球時の地上気象状況は、天候:霧雨、風速毎秒1m、気温:摂氏16度でした。

※実験概要
成層圏大気科学において現在最も注目されているものの一つである大気年代は成層圏大気輸送の重要な指標であり、特に地球温暖化に伴う成層圏大気力学過程の応答を検出できると期待されています。これまで「クロックトレーサー」と呼ばれる二酸化炭素(CO2)または六フッ化硫黄(SF6)を観測し、その濃度から大気年代を決定する研究が行われてきました。しかし、その長期変化の傾向は近年の数値シミュレーションの結果と異なっており、また必ずしもCO2とSF6の両者から決定した年代は一致しません。そこで、本研究では、CO2とSF6に加えて、新たな「クロックトレーサー」として炭素同位体(13C)、O2/N2比とハロカーボン類の濃度を計測して独立に大気年代を決定し、これまでの大気年代研究の妥当性を検証し、同時に大気年代決定の高精度化・重層化を図ります。大気年代の決定と同時に、成層圏大気の過去30年間にわたる温室効果気体濃度のモニタリングに最新のデータを加え、成層圏における物質循環の長期変動を解明することも目的としています。

放球直前の大気球B20-04号機
©JAXA

2020年7月15日更新
大気球実験B20–03の実施終了について [皮膜に網をかぶせたスーパープレッシャー気球の性能評価]

国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、2020年7月14日(火)午前3時53分に、皮膜に網をかぶせたスーパープレッシャー気球の性能評価を目的として、2020年度気球実験の初号機を、連携協力拠点である大樹航空宇宙実験場より放球しました。この気球は満膨張体積2,000m3(直径約18m)のスーパープレッシャー大型気球です。

放球後、何らかの理由により気球は想定通りに上昇しませんでしたが、所定の手順により高度を維持しながら安全な海上まで飛翔させ、午前4時33分に高度10kmで指令電波により切り離した気球および制御機器部は、それぞれ大樹航空宇宙実験場東南東約23kmおよび約40kmの海上に緩降下し、午前5時40分までに回収船によって回収されました。

今後、飛翔データおよび回収した気球皮膜の検査等により原因を調査していく予定です。

放球時の地上気象状況は、天候:曇り、風速毎秒1.5m、気温:摂氏14度でした。

※実験概要
皮膜に網をかぶせる手法で製作されたスーパープレッシャー気球(SP気球)は、高耐圧性能を軽量で実現し、大重量の観測装置を吊り下げて長時間飛翔させることが可能な飛翔体です。本実験は、体積2,000m3のSP気球の飛翔試験を通じて、打ち上げから回収までの一連の運用が可能であることを確認すると共に、飛翔環境下での完全展開、耐圧性能を評価することを目的として実施しました。

2019年8月1日更新
大気球実験BS19–02及び2019年度第一次気球実験の実施終了について[極薄ペロブスカイト太陽電池の気球飛翔]

国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、2019年8月1日(木)午前6時00分に、極薄ペロブスカイト太陽電池の気球飛翔を目的として、2019年度気球実験の2号機を、連携協力拠点である大樹航空宇宙実験場より放球しました。この気球は満膨張時直径約11mのゴム気球で、毎分およそ330mの速度で上昇しました。
ゴム気球は、放球1時間15分後に大樹航空宇宙実験場東北東約20kmの太平洋上において高度約30kmに達しました。供試体はパラシュートにより、大樹航空宇宙実験場東方約40kmの海上に緩降下しました。

放球時の地上気象状況は、天候:晴れ、無風、気温:摂氏27度でした。

本実験をもちまして2019年度第一次気球実験は終了となります。なお、第一次気球実験での実施を予定していた大気球実験B19-04の実験は、気球飛翔に必要なヘリウムガスが国内での供給不足により十分な量を確保できないため、今季の実施を見送ることとしました。
実験にご協力いただいた関係者の皆様に深く感謝いたします。

<参考>
ペロブスカイト太陽電池は2009年に日本で開発された新しい太陽電池で、次世代太陽電池として世界中で注目されています。それは、塗布により簡易・低コストに製造可能であること、光吸収係数が高いため発電層を薄くして軽量化することが可能であること、高効率化を実現可能などの優れた特徴をもつことからです。低温成膜や薄膜化が可能という特色を活かした薄膜フィルム上への成膜の可能性に着目し、20µm厚程度のフィルム、特にポリエチレンなどのフレキシブル性が高い材料への太陽電池成膜を実現できれば、気球の膜上発電、ウエアラブル発電、インフレータブル構造物上での発電など、革新的な発電が可能となり、イノベーションを起こすことができます。
本実験では、極薄ペロブスカイト太陽電池の適用先の一つとして考えている気球膜上発電のために気球飛翔環境での動作試験を世界に先駆けて行い、膜上発電用極薄ペロブスカイト太陽電池開発によって気球実験の高度化に貢献することを目指します。

BS19-02号機 放球の様子



2019年7月6日更新
大気球実験B19–02の実施終了について[成層圏における微生物捕獲実験Biopause III]

国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、2019年7月6日(土)午前4時5分に、成層圏における微生物捕獲を目的として、2019年度気球実験の1号機を、連携協力拠点である大樹航空宇宙実験場より放球しました。この気球は満膨張体積30,000 m3(直径約42m)の大型気球で、毎分およそ330mの速度で上昇しました。
気球は、放球1時間30分後に大樹航空宇宙実験場東方約35 kmの太平洋上において高度約28 kmで水平浮遊状態に入りました。その後午前5時45分に指令電波により切り離された気球および微生物採取装置は、大樹航空宇宙実験場南東約35kmの海上に緩降下し、午前6時32分までに回収船によって回収されました。

放球時の地上気象状況は、天候:曇り、風速毎秒1m、気温:摂氏13度でした。

<参考>
成層圏における微生物の存在は、これまでにも地球大気の上部(成層圏、中間圏)での微生物採取により数例報告されています。大気上部に存在する生物種の把握や、その分布を明らかにすることは、地球生物圏の上端がどのようになっているのかを知る上で非常に重要な知見となります。今回の実験では、気球から切り離された微生物採取装置がパラシュートにより降下する間の微生物採取を目的としています。採取後は、採取装置中の微生物・微粒子試料の分析を実施します。



2018年8月6日更新
平成30年度第一次気球実験の終了について

平成30年度第一次気球実験の終了について

国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、大樹航空宇宙実験場において、平成30年度第一次気球実験を平成30(2018)年6月18日から8月10日までの期間で実施を予定しておりました。
しかしながら、今実験期間の間、気球放球・飛翔に適さない状況が継続し、また今後も回復する見込みがないため、今季予定していた4実験全てを実施せず、予定していた実験期間を終了することとなりました。

実験にご協力いただいた関係者の皆様に深く感謝いたします。

2018年5月2日更新
オーストラリア気球実験B18-03の実施終了について [エマルションガンマ線望遠鏡による宇宙ガンマ線観測(GRAINE)]

オーストラリア気球実験B18-03の実施終了について [エマルションガンマ線望遠鏡による宇宙ガンマ線観測(GRAINE)]

JAXAは、2018年4月26日(木)午前6時03分に、エマルションガンマ線望遠鏡による宇宙ガンマ線観測を目的として、オーストラリア気球実験の2号機を、オーストラリア連邦北部準州のアリススプリングス空港敷地内より放球しました。気球は、放球2時間後に高度38.0kmに到達しました。

その後、十分な観測時間を確保するため、ヘリウムガスを排気して高度を下げながら風速が遅い高度で飛翔を続けました。15時間余の飛翔後、午後10時47分に指令電波により切り離された気球及び搭載機器部は、クイーンズランド州ロングリーチの南西約250kmに緩降下しました。

放球時の地上気象状況は、天候:晴れ、風速毎秒3.0m、気温:摂氏12.9度でした。

※気球は、重量405kgの観測機器をガンマ線の空気による吸収が少ない高高度に打ち上げることができる満膨張体積300,000m3(直径88m)の大型気球です。

2018年4月10日更新
大気球実験B18-02の実施終了[気球によるMeVガンマ線天体国際共同観測(SMILE-II+)]

大気球実験B18-02の実施終了[気球によるMeVガンマ線天体国際共同観測(SMILE-II+)]

2018年4月7日(土)午前5時54分(日本標準時)に、気球によるMeVガンマ線天体国際共同観測を目的として、オーストラリア気球実験の初号機を、オーストラリア連邦北部準州のアリススプリングス空港敷地内より放球しました。この気球は重量511kgの観測機器をMeVガンマ線の空気による吸収が少ない高高度に打ち上げることができる満膨張体積500,000 m3(直径105 m)の大型気球です。

気球は、放球2時間20分後に高度39.6kmで水平浮遊状態に入りました。26時間余の飛翔後4月8日(日)午前10時37分に指令電波により切り離された気球及び搭載機器部は、アリススプリングス南南東約190kmに緩降下しました。

放球時の地上気象状況は、天候:晴れ、風速毎秒2.5m、気温:摂氏16.5度でした。

2017年6月26日更新
大気球実験B17-04の実施終了[新型ロードテープ気球飛翔試験]

大気球実験B17-04の実施終了[新型ロードテープ気球飛翔試験]

JAXAは、2017年6月24日(土)午前3時33分に、新型ロードテープ*を用いた気球飛翔性能試験を目的として、2017年度第一次気球実験の2号機を、連携協力拠点である大樹航空宇宙実験場より放球しました。この気球は満膨張体積5,000 m3(直径23 m)の大型気球で、毎分およそ330 mの速度で上昇しました。
気球は、放球1時間30分後に大樹航空宇宙実験場東方約50 kmの太平洋上において高度24 kmで水平浮遊状態に入りました。その後午前6時9分に指令電波により切り離された気球及び制御機器部は、大樹航空宇宙実験場南東約20kmの海上に緩降下し、午前6時50分までに回収船によって回収されました。
放球時の地上気象状況は、天候:晴れ、風速毎秒1.5 m、気温:摂氏11.7度でした。

*気球の縦方向(経線方向)には、ロードテープという気球の骨格の役割を果たすテープが複数本挿入されています。高度30km以上の成層圏を飛翔する大気球の製作において、気球に重い実験装置を吊り下げるためには強度が強く伸びのないロードテープが必要で、これまでは外国製の製品を使用してきました。今回はより軽い国産品として新規開発されたロードテープを使用した大気球の飛翔性能試験を行いました。

2017年6月23日更新
大気球実験B17-02の実施終了[成層圏における微生物捕獲実験]

大気球実験B17-02の実施終了[成層圏における微生物捕獲実験]

JAXAは、2017年6月23日(金)午前4時47分に、成層圏における微生物捕獲を目的*として、2017年度第一次気球実験の初号機を、連携協力拠点である大樹航空宇宙実験場より放球しました。この気球は満膨張体積30,000 m3(直径42 m)の大型気球で、毎分およそ330 mの速度で上昇しました。
気球は、放球1時間30分後に大樹航空宇宙実験場東南東約40kmの太平洋上において高度28 kmで水平浮遊状態に入りました。その後午前6時50分に指令電波により切り離された気球及び微生物採取装置は、大樹航空宇宙実験場南東約15 kmの海上に緩降下し、午前7時40分までに回収船によって回収されました。
放球時の地上気象状況は、天候:くもり、風速毎秒1.5 m、気温:摂氏15.5度でした。

*成層圏における微生物の存在は、これまでにも地球大気の上部(成層圏、中間圏)での微生物採取により数例報告されています。大気上部に存在する生物種の把握や、その分布を明らかにすることは、地球生物圏の上端がどのようになっているのかを知る上で非常に重要な知見となります。今回の実験では、気球から切り離された微生物採集装置がパラシュートにより降下する間の微生物採取を目的としています。採取後は、採集装置中の微生物・微粒子試料の分析を実施します。

2016年9月5日更新
大気球実験BS16-05および2016年度第二次気球実験の実施終了

大気球実験BS16-05および2016年度第二次気球実験の実施終了

JAXAは、2016年9月5日(月)午前3時52分に、成層圏オゾン・二酸化窒素の観測を目的として、2016年度第二次気球実験の1号機を大樹航空宇宙実験場より放球しました。
気球は、放球2時間45分後に大樹航空宇宙実験場東南東約40kmの太平洋上において高度45kmに達し、その後、気球および制御機器部は、大樹航空宇宙実験場東南東約50kmの海上に緩降下しました。
本実験をもちまして2016年度第二次気球実験は終了となります。ご協力いただいた関係者の皆様に深く感謝いたします。

2016年6月14日更新
大気球実験B16-01の実施終了~火星探査用飛行機の高高度飛行試験

大気球実験B16-01の実施終了~火星探査用飛行機の高高度飛行試験

JAXAは2016年6月12日(日)に、火星探査用飛行機の高高度飛行試験を目的として、2016年度第一次気球実験の2号機を用いて、火星探査用飛行機の高高度飛行試験を行い、終了しました。
火星探査用飛行機の飛行試験は、一部データ取得ができなかった時間もありましたが、今回取得したデータを詳しく解析し、今後の研究を進めていきます。
本実験をもちまして2016年度第一次気球実験は終了となります。ご協力いただいた関係者の皆様に深く感謝いたします。

* 火星探査用飛行機を実現するためには、地球上の1/100という薄い大気中での飛行に適するように機体の空力設計を行うことが必要です。本実験は、火星大気密度を模擬することが可能な高高度で飛行試験を実施することで、機体の空力データ等の取得を目指したものです。飛行試験により得られた各種データを分析し、将来の火星探査用飛行機の設計に活用していきます。

2016年6月8日更新
大気球実験B16-02の実施終了~成層圏における微生物捕獲実験

大気球実験B16-02の実施終了~成層圏における微生物捕獲実験

JAXAは、2016年6月8日(水)午前3時43分に、成層圏における微生物捕獲を目的として、2016年度第一次気球実験の初号機を、連携協力拠点である大樹航空宇宙実験場より放球しました。この気球は満膨張体積15,000m3(直径33.5 m)の大型気球で、毎分およそ300 mの速度で上昇しました。
気球は、放球1時間40分後に大樹航空宇宙実験場東方約35 kmの太平洋上において高度28 kmで水平浮遊状態に入りました。その後午前5時50分に指令電波により切り離された気球および微生物採取装置は、大樹航空宇宙実験場東方約30 kmの海上に緩降下し、午前6時28分までに回収船によって回収されました。

2015年8月24日更新
大気球実験BS15-07及び2015年度第一次気球実験の実施終了

大気球実験BS15-07及び2015年度第一次気球実験の実施終了

JAXAは、2015年8月22日(土)午前5時2分に、国際宇宙ステーション(ISS)からの 放出する衛星(EGG)に搭載予定の機器の動作確認と運用確認試験を目的として、 BS15-07を大樹航空宇宙実験場より放球しました。この気球は満膨張時直径11mの ゴム気球で、毎分およそ380mの速度で上昇しました。
ゴム気球は、放球1時間36分後に大樹航空宇宙実験場東北東約55kmの太平洋上に おいて高度約31.7kmに達しました。供試体はパラシュートにより、大樹航空宇宙 実験場東北東約95kmの海上に緩降下しました。
本実験をもちまして2015年度第一次気球実験を終了します。
実験にご協力いただいた関係各方面の方々に深く感謝いたします。

* 本実験は、将来の地球帰還システムへの応用が期待されている展開型柔軟エア ロシェルによる大気圏突入システム開発の一環として実施されたものです。現在、 ISSから放出される超小型衛星として東京大学を中心に開発中の"EGG(re-Entry satellite with Gossamer aeroshell and GPS/Iridium)"実験機の前段階試験に なります。

2015年8月7日更新
大気球実験B15-03 終了

大気球実験B15-03 終了

JAXAは、2015年8月6日(木)午前4時12分に、成層圏大気のクライオサンプリングを目的として、2015年度第一次気球実験の初号機を大樹航空宇宙実験場より放球しました。この気球は満膨張体積100,000m3(直径63.4m)の大型気球で、成層圏大気を採取しながら上昇しました。
気球は、放球3時間後に大樹航空宇宙実験場東方約50kmの太平洋上において高度34.8kmで水平浮遊状態に入りました。その後午前7時49分に指令電波により切り離した気球及び観測器は、大樹航空宇宙実験場南東約30kmの海上に緩降下し、午前8時30分までに回収船によって回収されました。

2015年5月15日更新
オーストラリアにて大気球実験を実施

オーストラリアにて大気球実験を実施

5月12日に神戸大学、名古屋大学他と共同で、オーストラリアのニューサウスウェールズ大学が管理する気球放球基地を使用して、大気球実験を実施しました。
この実験は、神戸大学、名古屋大学他によるエマルションガンマ線望遠鏡を用い、高解像度観測を実現し、天体の空間構造の解明、ならびにガンマ線放射機構の解明を目指すものです。
大気球は5月12日午前6時03分(日本時間)に放球され、同日20時25分に着地しました。

2014年8月22日更新
超薄膜高高度気球(BS13-08)が無人気球到達高度の世界記録を更新

超薄膜高高度気球(BS13-08)が無人気球到達高度の世界記録を更新

JAXAは本日、「超薄膜高高度気球の飛翔性能試験(BS13-08)」を実施し、到達高度53.7kmを記録しました。
この記録は、平成14年5月に当時の文部科学省宇宙科学研究所が放球した超薄膜高高度気球(厚さ3.4μmのポリエチレンフィルム製、満膨張体積60,000m3(直径53.7m))の到達高度53.0kmを越えるものであり、無人気球到達高度の世界記録を更新したこととなります。
本実験により、厚さ2.8μmのポリエチレンフィルムを用いた超薄膜高高度気球の設計・製作・放球の一連のプロセスの妥当性を実証することができました。今後は、かつてのMT-135ロケット(注1)に代わる飛翔体として、より幅広い中間圏下部(高度50~60km周辺)における大気科学等の「その場観測」の実現に取り組んでいきます。
本実験をもちまして2013年度第二次気球実験を終了します。ご協力いただいた関係者の皆様に深く感謝いたします。

2011年9月14日 更新
大気球実験BS11-06について

2011年9月14日(水)6時12分に、BS11-06実験として、2011年度第二次気球実験の第二号機を連携協力拠点 大樹航空宇宙実験場より放球しました。この実験は、気球用フィルムとして世界で最も薄い、厚さ2.8μmのポリエチレンフィルムを用いて製作された超薄膜高高度気球の飛翔性能試験を目的としています。
気球は順調に上昇を続けましたが、高度14.7kmに達した時点で浮力を失い、緩降下を始めました。降下予定区域を逸脱する恐れがあったため、指令電波により気球破断を図りましたが、気球は所定の降下速度に達せず、降下中にジェット気流により東南東方向に流されて降下予定区域を逸脱し、実験場の東南東330kmの太平洋上に降下した模様です。
被害の報告はありません。関係各方面の方々のご協力に感謝申し上げますとともに、ご迷惑をおかけしましたことをお詫びいたします。

2011年8月30日 更新
大気球実験B11-04 終了

2011年8月30日(火)午前4時40分に、小型実験用再突入システムの大気球からの落下試験を目的としたB11-04実験として、2011年度第二次気球実験の初号機を連携協力拠点 大樹航空宇宙実験場より放球しました。この気球は満膨張体積100,000m3の大型気球で、およそ毎分300mの速度で上昇しました。
放球2時間20分後に、大樹航空宇宙実験場南南東約20kmの太平洋上において、高度37kmに達したところで気球から投下されたアポロ型カプセルの供試体は、遷音速に達したのち、パラシュートを開傘して海上に緩降下しました。その後7時15分に指令電波により切り離した気球および制御機器部は、大樹航空宇宙実験場南東約30kmの海上に緩降下し、8時25分までに回収船によって回収されました。

2011年6月8日 更新
大気球実験B11-02 終了

2011年6月8日(水)5時04分に、エマルションハイブリッド望遠鏡による宇宙ガンマ線の観測を目的としたB11-02実験として、2011年度第一次気球実験の2号機を連携協力拠点 大樹航空宇宙実験場より放球しました。
この気球は満膨張体積100,000m3の大型気球で、およそ毎分300mの速度で上昇し、放球2時間後に大樹航空宇宙実験場東方約75kmの太平洋上において高度34.7kmで水平浮遊状態に入りました。
その後気球は約1時間30分の間、西方に飛翔し、8時50分に指令電波により観測器を気球から切り離しました。切り離した観測器は大樹航空宇宙実験場東方約25kmの海上にパラシュートで緩降下し、9時43分までに回収船によって回収されました。

2011年6月1日 更新
大気球実験BS11-02 終了

2011年6月1日(水)1時23分に、超小型タンデム気球の飛翔性能試験を目的としたBS11-02実験として、2011年度第一次気球実験の初号機を連携協力拠点 大樹航空宇宙実験場より放球しました。
本実験は、昼夜で高度を変えながら長時間の飛翔を実現する、スーパープレッシャー気球とゼロプレッシャー気球からなるタンデム気球システムの原理実証を行うと共に、システム構築に必要な基礎データとして、低温の飛翔環境におけるスーパープレッシャー気球の耐圧性能評価および温度変化量の収集を目的としたものでした。

2010年9月9日 更新
大気球実験BS10-06 終了

2010年9月8日5:38に、高高度薄膜気球飛翔性能試験と成層圏オゾン・大気重力波の観測を目的としたBS10-06実験として、2010年度第二次気球実験の4号機を連携協力拠点 大樹航空宇宙実験場より放球しました。この気球は満膨張体積60,000m3、気球膜厚3.4マイクロメートルの薄膜高高度気球で、およそ毎分300mの速度で上昇しました。
本実験では、これまでに比べて幅広の薄膜ポリエチレンフィルムを用いた薄膜高高度気球の飛翔実証および薄膜気球用気球引裂き機構の動作確認という所期の目的を達成しました。また同時に、光学式・電気化学式(ECC)の2種類のオゾン観測器を用いてオゾン、風速、気温、気圧の精密観測を行い、地表付近から上部成層圏にかけてのオゾン高度分布と大気重力波等によるその微細構造の観測を行いました。高度30km以下で高精度なECCオゾンゾンデ、高度30km以上で精度のよい光学式オゾンゾンデともに良好に作動し、高度46.8kmの上部成層圏領域までの観測に成功しました。今回の大樹航空宇宙実験場における初めての観測結果と、過去の三陸大気球観測所での観測結果との比較により、場所や年によるオゾンや大気重力波の変動も調査できるデータが取得できました。

2010年9月1日 更新
大気球実験B10-01 終了

2010年9月1日4:48に、気球を利用した超音速飛翔体の飛行実験を目的としたB10-01実験として、2010年度第二次気球実験の3号機を連携協力拠点 大樹航空宇宙実験場より放球しました。この気球は満膨張体積300,000m3の大型気球で、およそ毎分300mの速度で上昇しました。
本実験では、気球を利用して将来のスペースプレーン技術を習得する研究の一環として、音速以上に機体を加速する実験システムの実証と、スペースプレーン用に開発中のジェットエンジンや低毒性補助推進系の飛行状態での動作を確認することを目的としていました。超音速飛翔体を気球から分離した後、低毒性推進系の実験を実施し、引き続きジェットエンジン燃焼実験を開始しました。その後飛翔体の姿勢運動が計画の範囲を超えたため、安全に配慮して実験を中断し飛翔体を降下させました。この間に取得されたさまざまな実験データは、今後の研究に活用されます。

2010年8月27日 更新
大気球実験B10-03 終了

2010年8月27日5:41に、俵型気球の飛翔試験を目的としたB10-03実験として、平成22年度第二次気球実験の2号機を連携協力拠点 大樹航空宇宙実験場より放球しました。この気球は満膨張体積5,000m3の俵型圧力気球で、およそ毎分250mの速度で上昇しました。
気球は、放球1時間45分後に大樹航空宇宙実験場の東南東約90kmの太平洋上において高度25.2kmに達し、気球が完全に展開した状態で気球内部の圧力が外部大気圧より高い与圧状態となりました。しかし、内部圧力が上昇していく途上、7時25分に気球内外の圧力差が64Paの状態で気球下部のフィルムが裂け、与圧状態を維持できませんでした。
本研究は、将来高度35km程度を浮遊する飛翔経路を制御可能なパワードバルーンを実現するために、通常のゼロプレッシャー気球より空気抵抗が一桁小さな気球形状である俵型圧力気球の開発を目的としています。本実験では、満膨張体積5,000m3の小型モデル機の飛翔試験を行い、成層圏環境下において気球が完全展開に至る膨張過程を確認することができました。また、圧力気球用の気球破壊機構の動作を確認することもできました。当初予定していた圧力より小さな内外圧力差で気球フィルムが裂け、与圧状態を維持できなかった要因については、内外圧力差の履歴や気球の展開過程を撮影した映像などから調査を進め、今後の研究開発に反映させる所存です。

2010年8月23日 更新
大気球放球実験B10-02号機 終了

2010年8月22日5:12に、成層圏大気のクライオサンプリングを目的としたB10-02実験として、2010年度第二次気球実験の初号機を連携協力拠点 大樹航空宇宙実験場より放球しました。この気球は満膨張体積100,000m3の大型気球で、成層圏大気を採取しながら上昇しました。
本実験の目的は、液体ヘリウムを用いるクライオジェニック法で希薄な成層圏大気を固化して大量に採集するものであり、得られた試料空気は温室効果気体をはじめとしたさまざまな大気成分の濃度や同位体比の測定に供されます。成層圏大気の採集は、気球上昇中の14.6kmから30.0kmの間、水平浮遊高度および気球がゆっくり降下していた33.8kmから28.3kmの間に行われ、総計12本の試料容器に高度別の大気を採集することに成功しました。採集された大気試料は、本実験に参加する東北大学、東京工業大学、宮城教育大学、国立極地研究所などにおいて、最先端の分析装置を用いて詳しい解析が行われる予定です。(写真:JAXA格納庫内にて気球にヘリウムガスを充てんする様子)

2009年8月25日 更新
大気球放球実験B09-04終了

2009年8月25日(火)6時07分に、小型柔構造インフレータブル飛翔体の展開および飛行試験を目的としたB09-04実験として、2009年度第二次気球実験の初号機を連携協力拠点大樹航空宇宙実験場より放球しました。
この気球は満膨張体積5,000m3の大型気球で、およそ毎分300mの速度で上昇しました。
気球は、放球1時間30分後に大樹航空宇宙実験場東方約50kmの太平洋上において高度24.7kmで水平浮遊状態に入りました。その後気球は約1時間20分の間、西北西に飛翔し、9時00分に指令電波により観測器を気球から切り離しました。
切り離した観測器は実験場東方約30kmの海上にパラシュートで緩降下し、9時45分までに回収船によって回収されました。 (写真:放球直後)

2009年8月17日 更新
BESS-Polar実験がNASA Group Achievement Awardを受賞

南極周回気球による気球搭載型超伝導スペクトロメータを用いて宇宙粒子線を観測するBESS-Polar実験がNASA Group Achievement Awardを受賞しました。 2004年に実施された1回目の南極周回気球実験において8.5日間の飛宇宙粒子線観測を実現し、その後測定器のアップグレードを経て2007年12月から翌年1月にかけて2回目の実験を実施しました。12月23日に米マクマード基地から放球された気球はほぼ30日間に亘って南極大陸上空を2周弱周回し、この間に47億の宇宙線事象を観測し、その中から8,000事象を上回る低エネルギー宇宙線反陽子の検出を達成しています。
今回の受賞は世界最高の宇宙起源反物質探索を実現したBESS-Polar測定器の開発と30日間に及ぶ気球実験の成功に対するものです。(写真:放球のようす)

2009年6月19日 更新
大気球放球実験B09-02終了

2009年6月18日(木)3時58分に、硬X線領域でのカニ星雲の偏光度と偏光方向の測定を目的としたB09-02実験として、2009年度第一次気球実験の3号機を連携協力拠点大樹航空宇宙実験場より放球しました。この気球は満膨張体積300,000m3の大型気球で、およそ毎分300mの速度で正常に上昇しました。(写真:屋内にてヘリウムガスを注入中の大気球)

2009年6月3日 更新
大気球放球実験B09-03終了

2009年6月3日(水)4時09分に、気球搭載望遠鏡のシステム性能試験と金星大気観測を目的としたB09-03実験として、2009年度第一次気球実験の2号機を連携協力拠点 大樹航空宇宙実験場より放球しました。この気球は満膨張体積100,000m3の大型気球で、およそ毎分300mの速度で正常に上昇しました。(写真:放球台上に設置された観測器と、ヘリウムガスを注入中の大気球)

2009年5月27日 更新
大気球放球実験B09-01終了

2009年5月27日(水)6時04分に、無重力実験システムの動作試験(4号機)を目的としたB09-01実験として、2009年度第一次気球実験の初号機を連携協力拠点 大樹航空宇宙実験場より放球しました。この気球は満膨張体積300,000m3の日本最大級の大型気球であり、およそ毎分330mの速度で正常に上昇しました。(写真:放球直後)

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