太陽系と宇宙の起源の解明に向けて 磁気圏尾部観測衛星「GEOTAIL」

磁気圏尾部観測衛星「GEOTAIL」とは

地球磁気圏の尾部を探り
太陽からのエネルギーの流れを調べます

地球の周辺を取り巻く磁気圏は、太陽からやってくる太陽風に押されてゆがみ、反対側(夜側)に伸びて長大な尻尾の形となります。この「磁気圏の尾部」には太陽から得られたエネルギーが蓄えられ、オーロラや放射線帯のエネルギーのもととなります。尾部の探査は天文物理学や宇宙科学の一環として意義深く、この「地球磁気圏の尾部を探る衛星」は、ジオテイル(GEOTAIL)=地球(GEO)の尻尾(TAIL)、と名付けられました。

磁気圏尾部観測衛星「GEOTAIL(ジオテイル)」は、地球磁気圏尾部の構造とダイナミクスの研究を目的とし、開発・運用はJAXAの母体の一つである宇宙科学研究所(ISAS)、打ち上げはNASAが担当するという日米共同プロジェクトで、1992(平成4)年にデルタロケット212によって打ち上げられました。観測機器の受け持ちは、約3分の2がISAS、約3分の1がNASAとなりました。搭載された機器は5種で(磁場観測機器、電場観測機器、プラズマ観測機器2組、高エネルギー粒子観測機器2組、プラズマ波動機器)、これらによって重要な観測を行います。磁気圏を幅広い範囲(地球の半径の8~220倍)でカバーする軌道を持ち、衛星のテレメーター・データは両機関が受信します。

各国とのネットワークも大事なミッション「GEOTAIL」は国際協力の要です

太陽から太陽風を通じて地球磁気圏にやってくるエネルギーと物質の流れを捉えるため、「GEOTAIL」は、アメリカだけでなくヨーロッパ・ロシアとも協力しています。 ISTP (太陽地球系物理学国際共同観測計画)と呼ばれるプロジェクトでは、「GEOTAIL」が中心的役割を果たしています。ネットワークを組むのは地球周辺の宇宙空間に配置された合計10個の衛星で、太陽風を観測するウインド衛星(NASA)、尾部高緯度領域を狙うインターボール/テール衛星(IKI)、太陽観測衛星ソーホー(ESA)、高緯度磁気圏観測衛星ポーラー(NASA)、磁気圏のミクロ構造探査衛星クラスター(ESA)などです。

打上げから19年以上にわたって継続して計測を続けており、現在は後期運用中となります。

トピックス

一覧
2022年11月28日 更新

GEOTAILは30年以上にわたる観測運用を終了

磁気圏尾部観測衛星GEOTAILは、1992年7月に米国フロリダ州からデルタ-Ⅱロケットで打ち上げられた日米共同プロジェクトです。これまで30年間以上の長期間に渡り地球周回の長楕円軌道で観測を行い、地球磁気圏の昼間側境界や尾部で磁気リコネクションが起きている事を実証してその中でイオンや電子がどのように振る舞うかを明らかにするなど、特に地球磁気圏尾部において数々の発見を含む画期的な成果をあげて来ました。当初計画の3年半のミッション期間を大きく上回る30年以上にわたり運用してきましたが、2022年6月末までに搭載データレコーダーが両系とも動作停止し、十分な観測データが取得できなくなったため、観測運用を終了することとし、2022年11月28日に宇宙機の運用停止・停波を行いました。以降は来年3月末までにミッション成果のまとめを行ってまいります。
これまでの運用にあたり、ご協力をいただいた関係各機関及び各位に深く感謝いたします。

パンフレット

PAGE TOP