小惑星探査機「はやぶさ2」搭載ターゲットマーカの小惑星Ryugu(リュウグウ)への投下について
平成30年10月25日
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、小惑星探査機「はやぶさ2」のタッチダウンへ向けた3回目のリハーサルを平成30(2018)年10月23日から実施しています。リハーサルの際に、「はやぶさ2」に搭載しているターゲットマーカ1個を分離し、リュウグウに投下しました。
ターゲットマーカはリュウグウに着地し、「はやぶさ2」から撮影した画像に写っていることが確認できました。「はやぶさ2」の状態は正常です。
JAXAは、広報・アウトリーチ活動の一環として、平成25(2013)年に「はやぶさ2」のターゲットマーカと帰還カプセルに載せるお名前・メッセージの募集を実施しました。今回投下したターゲットマーカにはみなさまから応募いただきましたお名前を搭載しており、リュウグウへ届けることができましたので、お知らせします。

リュウグウ着地後のターゲットマーカの画像(緑色の丸印の中の白い点がターゲットマーカ)。「はやぶさ2」の広角の光学航法カメラ(ONC-W1)で撮影。
- 撮影時日時:10月25日11時47分(日本時間)
- 撮影高度:リュウグウ表面から約20m
- 画像クレジット:JAXA
■ | 「はやぶさ2」の運用に関する情報については、JAXAウェブはやぶさ2特設サイト、はやぶさ2プロジェクトサイトにてお知らせします。
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参考1
ターゲットマーカ: 「はやぶさ2」がリュウグウの表面に安全にタッチダウンするためには、非常にゆっくりした速度でリュウグウの表面に近づいていく必要があります。 「はやぶさ2」と地球との距離は約3億キロあります。 地球の管制室から「はやぶさ2」を操作しようとしますと、操作指示を電波で送って「はやぶさ2」に届くまで18分ほどかかります。もし、「はやぶさ2」が降下中に障害物を発見した場合、管制室から障害物を避けるように操作しても、間に合わないでしょう。このため、リュウグウの表面近くまで降下した「はやぶさ2」は自身の判断で自律して動くようになっています。 タッチダウンの為に必要なのは、まず、高度の情報です。これは「はやぶさ2」に搭載しているレーザ高度計とレーザ・レンジ・ファインダで測定できます。しかし、宇宙空間を移動する「はやぶさ2」は水平方向にも動きます。この水平方向に動く(横向きの)速度を正確に測定しないと、目標地点へ行けなかったり、タッチダウン時にバランスを崩してしまったりしかねません。 そこで、ターゲットマーカをタッチダウン地点に投下して、「はやぶさ2」を誘導します。「はやぶさ2」が発するフラッシュによって目印(ターゲットマーカ)が光り、その光を搭載しているカメラで認識することによって、「はやぶさ2」は自分の位置を検出します。こうすることによって「はやぶさ2」は横向きの速度を測定しながら小惑星リュウグウにタッチダウンをする予定です。 |
![]() ターゲットマーカ ![]() 「はやぶさ2」を下面から覗き込んだ図(CG) ![]() ターゲットマーカにフラッシュをあてない時(上)とあてた時(下)の画像。この画像のターゲットマーカは「はやぶさ」に搭載したものである。 |
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参考2
応募いただいたお名前のターゲットマーカへの搭載について
「はやぶさ2」にはターゲットマーカが5個搭載されています。すべてのターゲットマーカ内部には2枚の薄いシートにみなさんのお名前を刻んで縫込んであります。シートの大きさに限りがあるため、お名前のサイズを小さくして、応募いただいた分が収まるようにしてあります。


ボール状の形状をしたターゲットマーカの芯の部分をシートでくるんでいきます。

2枚のシートでくるんだ後、野球のボールの縫い目と同じような位置をテープで貼り合わせていきます。

ターゲットマーカの外側のシートです。フラッシュを反射する素材で出来ています。

ターゲットマーカをシートの中に入れ、隙間が空かないように糸で縫い合わせていきます。

完成品です。全部で5個のターゲットマーカが「はやぶさ2」に搭載されていて、
すべてのターゲットマーカに同じように皆様のお名前が印字されています。

参考1の画像クレジットはいずれも JAXA となります。
参考2の画像クレジットはいずれも JAXA/撮影協力NEC となります。
ターゲットマーカ分離とフラッシュ点灯、タッチダウンまでの一連の動作は次のURLの動画の10秒~30秒をご参考ください。今回のリハーサルでは、ターゲットマーカへフラッシュをあてて追跡するまでとなります。タッチダウンまでは実施しませんのでご注意ください。