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「いぶき2号」搭載 温室効果ガス観測センサ2型(FTS-2)の
初観測について

平成30年12月26日

国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構

国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、平成30年10月29日に打ち上げた温室効果ガス観測技術衛星2号「いぶき2号」(GOSAT-2)※1の初期機能確認運用※2を実施していますが、12月12日から14日にかけて、同衛星に搭載された「温室効果ガス観測センサ2型(TANSO-FTS-2、以降FTS-2)」の初観測を行い、FTS-2が正常に動作することを確認しました。

FTS-2は、温室効果ガスがその種類に応じて固有の波長の光を吸収する性質を利用して、大気中を通過する光の波長成分を細かく分解(分光)し、固有の波長での吸収度合い(吸収線)を測定することで、温室効果ガス濃度を算出します。本文図1は、12月13日午後1時頃の名古屋上空の観測結果※3です。二酸化炭素、メタン、一酸化炭素等による吸収を受けた正常な分光データを計画通り取得し、FTS-2の健全な動作を確認しました。

また、FTS-2に内蔵された観測点の周囲を撮像できるカメラ(視野カメラ)により、自動で雲を避けて観測する機能が正常に動作していることも確認しました(別紙図2)。この機能により、有効な晴天域の観測データが増加し、それにより温室効果ガス排出量の推計精度の向上が期待できます。

今後も引き続きセンサの初期機能確認を2019年1月末まで行った後、定常的な観測運用へ移行する予定です。

(補足)

※1 環境省(MOE)、国立研究開発法人国立環境研究所(NIES)およびJAXAの3機関による共同プロジェクト。
※2 センサを含む衛星が所定の機能性能を軌道上で有していることを確認する運用。
※3 「いぶき2号」と地上局の通信確認のための試験電波により、2018年12月12日から14日(日本時間)にかけて取得された観測データから抜粋。FTS-2は冷却面への水分(氷)などの付着により冷却性能が低下することを防ぐため、打上げ後から観測準備として冷却面の温度を下げる前に内部の水分などを飛ばす作業を行い、観測を開始した。

図1 12月13日午後1時頃に「いぶき2号」が取得した名古屋上空の観測データ。
左図のCAI-2※4観測画像に記した赤い点は、FTS-2観測地点を示している。(名古屋は黄色い点で示している。)
右図に、名古屋上空におけるFTS-2分光データ※5を示す。

※4 いぶき2号に搭載されている雲・エアロソルセンサ2型
※5 横軸が波長軸(左方向に長い)、縦軸が光の強度(ぎざぎざが下に深いほどガスの吸収量が大きい)を表す。上から観測バンドは、バンド1P(酸素0.76ミクロン吸収帯)、バンド2P(メタンおよび二酸化炭素1.6ミクロン吸収帯)、バンド3P(一酸化炭素、メタンおよび二酸化炭素2~2.3ミクロン吸収帯)、バンド5および4(二酸化炭素14ミクロン吸収帯、メタン7.6ミクロン吸収帯)。なお分光データは未較正であり、精度は今後の較正作業の中で確認する。

[別紙]

「いぶき2号」搭載のFTS-2では、「いぶき」には無かった機能として、雲を避けて観測するインテリジェントポインティング機能により、地表付近の情報が得られる晴天データをより多く取得できるよう工夫しています。
図2は、12月14日午前2時30分頃(日本時間)、南米アマゾン上空でインテリジェントポインティング機能を確認したときのデータです。FTS-2の視野を変えるためには、内蔵されたスキャンミラーの方向を変更します。スキャンミラーが、計画された観測点へ約0.3秒で移動し、次の約0.3秒間で、視野カメラ画像から観測点周辺の雲の分布を衛星上で判断して、視野カメラ画像のなかで雲が無いと判断した方向にスキャンミラーを動かします。観測点1では、視野カメラ画像から、最初の観測点(点線)から矢印の方向に約20km動かして(実線)、雲と雲の隙間を観測していることがわかります。取得された分光データからも晴天な地点を観測したことがわかりました。図3に、この晴天の観測点1と、次の雲に覆われた観測点2の分光データを解析して比較をした結果を示します。観測点2のデータ(青)に比べて、観測点1のデータ(赤)は、二酸化炭素の吸収線が深くなっています。この吸収線の差は、雲より下の高度の二酸化炭素による吸収を示しています。人為起源の排出や森林による吸収・排出の情報は雲の下、地表付近に多く含まれています。インテリジェントポインティング機能による雲を避けた運用により、地表付近の情報を含む晴天域のデータを増やせることが今回の観測で確認できました。

図2 南米アマゾン上空でのインテリジェントポインティング機能の確認

図3 二酸化炭素吸収帯の分光データの雲と晴天の比較※1。晴天データのほうが吸収線が深い。

※1 吸収がほとんど無い6187cm-1での輝度を1として他の波長での輝度を相対的に表す処理(規格化処理)を行っている。

フランス・パリの南100kmの都市オルレアン(Orleans)を「いぶき2号」と米国NASAのOCO-2衛星※2がほぼ同時刻に宇宙から観測を行いました(12月12日午後10時40分頃(日本時間))。「いぶき2号」と「OCO-2」は、宇宙から二酸化炭素濃度を測定するという同じ目的で協力しています。
図4は、二酸化炭素の吸収がある1.6ミクロン帯と2ミクロン帯の分光データの比較※3を示し、吸収線の位置が一致していることからも、FTS-2が正常に動作していることがわかりました。国立環境研究所はつくば、陸別、フィリピンブルゴス(Burgos)にて、JAXAは佐賀大学にて地上観測器を運用しており、「いぶき2号」の温室効果ガス濃度の精度確認を詳細に行う予定です。国際的な協力関係※4を通して、「いぶき2号」の精度向上に努めます。

※2 OCO-2(Orbiting Carbon Observatory-2)。2014年7月2日に打ち上げられた、大気中の二酸化炭素の全球観測を目的とする衛星
※3 観測時の太陽高度の違いや、衛星から見ている方向の違いなどを補正し、時空間平均化してから比較
※4 「いぶき2号」と同様の原理で太陽光を光源として、大気中の二酸化炭素やメタンの濃度を高精度に測定する観測器が置かれている観測所のネットワーク(全量炭素カラム観測ネットワーク(TCCON))のメンバー

図4 いぶき2号とOCO-2の宇宙からの同時観測による二酸化炭素吸収帯の分光データの比較。

(参考:「いぶき2号」ホームページ)http://www.satnavi.jaxa.jp/project/gosat2/

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