2022年(令和4年)3月理事長定例記者会見

理事長定例記者会見

山川理事長の定例記者会見のトピックスをお伝えします

日時:2022年(令和4年)3月11日(金) 13:30-14:15

場所:オンライン会見

司会:広報部長 佐々木 薫

新たな宇宙飛行士候補者募集結果

新たな宇宙飛行士候補者の募集を2021年12月20日から開始し、先週3月4日正午に終了いたしました。

 多くの皆様からご応募いただきまして、3月4日正午の時点で、全ての応募手続きを完了された方、つまり応募者の人数は1,563名となっています。
 この応募者は、既に前回2008年の時を大きく上回り、大変嬉しく思います。女性のご応募も、前回13%でしたが、今回は20%となりました。
 最終的な応募者数は、健康診断結果の提出期限であります4月4日(月)正午に確定し、4月5日(火)に発表を予定しております。
 なお、健康診断結果のみを提出されていない方も、相当数おられるようですので、4月4日正午までに、さらに多くの方に、ぜひ、ご提出いただけることを期待しております。

国際協力プロジェクト「アジアントライゼロG 2022」実験テーマ募集

 国際宇宙ステーション(ISS)の「きぼう」日本実験棟を通じ、アジア利用の拡大と、SDGsにおける人材育成の観点での貢献を目的として、アジア・太平洋地域の方を対象としました国際協力プロジェクト「アジアントライゼロG 2022」を実施します。
 アジアントライゼロGは、「きぼう」を利用したアジア協力イニシアティブ(Kibo-ABC)の加盟国・地域のうち、参加を希望する国・地域の担当機関により実施されます。参加機関は、それぞれ実験テーマを公募し、各国・地域で候補テーマを選抜します。その後、全参加機関で最終選考を行い、選ばれた実験をJAXA宇宙飛行士が「きぼう」で実施します。
 今回4年ぶりの実施となり、アジアントライゼロGとしては初めて、日本においても、簡易な物理実験テーマ・アイデアの公募を行います。
 2011年から、日本人宇宙飛行士の軌道上滞在時に6回開催してまいりました。開催当初は10件の応募でしたが、6回目の2018年、金井宇宙飛行士搭乗時には、169件にまで増えました。今回のアジアントライゼロGでは、国内にも募集対象を広げますので、さらに多くの方々から、ユニークな実験提案が寄せられることを期待しております。なお今回「きぼう」で実験を行うのは、若田宇宙飛行士となる予定です。
 応募締め切りは5月8日となっております。詳細につきましてはアジアントライゼロGのホームページがございますので、そちらをご覧ください。

JAXAと国連宇宙部との連携協力(KiboCUBE)に基づく第6回選定の結果

 JAXAと国連宇宙部(UNOOSA)は、2015年より、開発途上国の宇宙技術の能力構築及び人材育成への貢献を目的として、国際宇宙ステーション(ISS)「きぼう」日本実験棟からの超小型衛星放出の機会提供に関する連携協力「KiboCUBEプログラム」を実施しています。
 本プログラムは、打上げ手段を持たない開発途上国の教育機関や研究機関に対し、超小型衛星を「きぼう」日本実験棟より放出する機会を提供することを内容としておりまして、これまで6か国の機関を選定し、ケニア共和国、グアテマラ共和国、そしてモーリシャス共和国の衛星の放出に成功しております。

 今回、JAXA及び国連宇宙部は、2020年から2021年にかけて行った本プログラムの第6回目の公募に基づきまして、チュニジアの工学応用技術大学及びメキシコのプエブラ州立自治大学を選定いたしました。
 選定された2機関のプロジェクトは、超小型衛星を活用して画像取得及び地上との通信技術の実証等を行うものであり、両国の将来の宇宙活動の発展に大きく貢献すると考えられます。両機関の衛星は2023年末までの放出を予定しており、これらの重要なプロジェクトをサポートできることをJAXAとしても大変嬉しく感じております。
 今回の選定結果は、ウィーンで先月開催されました国連宇宙空間平和利用委員会の場におきまして、JAXAと国連宇宙部がイベントを共催し、発表いたしました。同イベントには日本政府ウィーン代表部の引原大使、チュニジア共和国ウィーン代表部大使、そしてメキシコ合衆国ウィーン代表部公使のご臨席を賜り、JAXAに対しても感謝のお言葉を頂くなど、大変意義深いイベントになったと考えております。

 本プログラムにおいて衛星の放出に成功した国のうち、ケニア共和国では、プロジェクトの成功が同国の宇宙機関設立に貢献したとの事例がございます。これは「きぼう利用」を通じて国際貢献に寄与した良い事例であり、開発途上国の方々の能力構築を強くサポートできていると考えております。
 今後も、JAXAは本プログラムを通じて、「きぼう」の利用促進、開発途上国の宇宙技術の能力構築及び人材育成に貢献してまいります。

雪氷モニタリングシステム実証試験の実施状況

2021年11月18日にプレスリリースにてお知らせいたしました、気象影響防御技術の研究WEATHER-Eyeの1つであります、雪氷モニタリングシステムの空港での実証試験による成果をご報告いたします。
 雪氷モニタリングシステムは、空港滑走路や誘導路面の雪氷状況をリアルタイムに観測し、航空機や空港管理者に路面データを送るシステムです。取得したデータを見える化し共有することで、航空機の離着陸判断や空港滑走路の除雪判断等を支援し、航空機運行の安全性や効率性の向上に寄与することを目指した研究開発となります。

 本年度は、開発したシステムの本格的な空港実証試験を開始しており、今年の1月に福井空港、2月に新千歳空港で、滑走路付近にセンサを埋設した試験を実施しました。
 2つの空港では、降る雪の雪質が異なりますが、センサが計測する雪の状態、厚さなどを、光学特性とAIを使用して解析することにより、さまざまな雪質を的確にとらえることができることを実証しました。
 それにより、雪氷滑走路面評価の国際基準となる雪質や雪厚の情報のほとんどが判別可能となったこと、さらに、得られたセンサのデータと気象予報データに基づいて、積雪予測モデルから積雪状態の予測表示が可能となったことが、主な成果です。本システムの有効性につきましても、それぞれの空港管理者の方々から、判断を裏付けるデータとして評価をいただいており、本システムの空港導入にむけて、大きく前進することができたと考えております。

 引き続き、共同開発機関と空港運営機関との連携を深め、センサ精度の向上や空港導入に向けての課題を解決するとともに、空港での雪氷モニタリングシステム本格運用を2025年度に開始することを目指してまいります。来年度から3年間は、その目標に向けた実証試験や技術移転などを行い、さらなるシステム開発を進める予定です。
 また、本システムは道路や鉄道などの分野での活用も視野に検討しており、今後、航空分野に加えて、さまざまな分野における課題解決に、成果を役立ててまいりたいと考えております。

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