輸送システムの研究開発と運用 H3ロケット

開発中

H3ロケットとは

H3ロケット

日本の技術で、宇宙輸送をリードせよ。

H3ロケットのメインエンジンLE-9は、これまでの日本の技術を結集し、開発されています。3Dプリンタ等の新技術を導入することで、エンジン全体のパーツを減らしシンプルな構造にすることで高信頼性と低価格を両立させます。固体ロケットブースタ(SRB-3)も新規開発品で、イプシロンロケットの1段モータと共通化する計画です。開発から製造、運用まで機体や地上システム、製造設備等の様々な基盤技術を相互に活用してシナジー効果の発揮を目指します。

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2020年10月29日 更新

H3開発計画見直しにあたって

2020年5月。H3ロケットの第1段エンジン(LE-9)の認定燃焼試験を種子島宇宙センターで行っていました。この認定燃焼試験では、実際の打上げに用いるエンジンと同じ設計と製造方法による試験用エンジンで10回を超える過酷な燃焼試験を行い、全ての試験を無事クリアすると打上げ用エンジンの設計が確定します。

5月26日の燃焼試験を終えた時点で合計8回、1098.5秒に到達。試験機1号機の打上げに向けた最終段階の緊張感に包まれながら次の試験に臨もうとしていたところ、翌27日の朝に一本の電話がかかってきました。それは試験後のエンジン内部点検に立ち会っていた開発リーダからでした。

「燃焼室の内面に変化がみられるため、詳細に観察したい」

このような思わぬ現象は開発には付き物なので、常に冷静に正確な状況を把握するように努めていますが、その時の私の声はいつもよりこわばっていたと思います。

以来約3ヶ月、もうひとつ出現した液体水素ターボポンプ・タービン部の疲労破面と合わせ、2つの課題の原因究明と対応策の検討に総力を挙げてきました。なんとか2020年度内に確実に打ち上げる対応策を見出だしたいという思いで、様々な可能性を検討しました。原因究明の一環として、毎秒700回転するタービンにセンサを貼りつけて実際に運転しデータを取得するという新たな試験にもチャレンジしました。検討を深め現象が解明されるに従って対応策は具体化できましたが、その対応策には腰を据えて取り組むべきと考えるに至りました。

プロジェクトを実行する際のマネジメントでは時間と費用と製品の質のバランスを常に考え、日々舵を取り軌道修正します。しかし、どうしてもバランスが取れない場合には条件を変えなければならないことが(本来あってはならないのですが)あります。何を一番大切に考えるか究極の判断を迫られる時です。

そして9月11日。課題への対応を確実に行うために試験機1号機を2020年度内に打ち上げることが極めて難しくなったとして、打上げ計画の見直しを発表しました。

この見直しにより、打上げを試験機に託していただいた衛星ミッション関係の皆様、プロジェクトに直接的・間接的に関わっていただいている皆様、そしてこれまで見守って来てくださった多くの皆様に本当に申し訳ない思いでいっぱいです。私たち自身もとても悔しいです。

しかし、技術は厳格で正直で曖昧なことは許されない。ですから、目の前に立ちはだかる技術の壁には正面から向き合うしかありません。納得のゆく対応をして、一点の曇りもなくH3ロケットを仕上げることが私たちの使命と考えています。

もうひとつお話したいことがあります。今回の計画見直しに際しては、JAXA内外からとても多くの方々に支えていただきました。JAXAには「全ての者はそれぞれの職務に応じて、プロジェクトの成功のために最大限の努力を尽くさなければならない」という理念がありますが、今回ははるかにそれを超え、「プロジェクトは独りにしてならず」ということを心の底から実感しました。この「独り」は「人ひとり」ではなく「プロジェクト関係者のみ」という意味です。近くから遠くから支えてくださった皆様、本当にありがとうございました。

今、私たちH3プロジェクトチームは、企業の皆さんと共にあらためて体勢を整え、これからの計画を綿密に立てているところです。9合目まで登った山を8合目まで引き返したことで時間は余計にいただきましたが、確実に山頂に立てるよう一歩一歩前進したいと思います。

どうか、これからも厳しくそして温かい目で見守っていただければ幸いです。

2020年10月29日
JAXA H3プロジェクトチーム
岡田 匡史

【録画】LE-9エンジンの開発状況について

【録画】H3ロケットの開発状況について

H3ロケット主要諸元

試験実施と結果について

国産大型ロケットのあゆみ

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