地上と宇宙を結ぶ輸送システム H3ロケット

開発中

H3ロケットとは

日本の技術で、宇宙輸送をリードせよ。

H3ロケットは、柔軟性、高信頼性、低価格の3つの要素を実現することを目指し、2020年度に試験機の打ち上げを予定している日本の新しい基幹ロケットです。
国の重要な人工衛星や探査機などを宇宙へ輸送する手段を今後も日本が持ち続けるために、現在運用しているH-IIAロケットH-IIBロケットの後継機として開発されています。H3ロケットは、国の衛星だけでなく民間の商業衛星を毎年打ち上げていくことも視野に入れています。
JAXAとプライムコントラクタである三菱重工業(株)を始めとする国内の関連企業が開発段階から総力を結集して、これまで培った運用経験等を活かして全体のシステムを刷新し、低価格・柔軟性・高信頼性を兼ね備えたロケットの実現を目指します。

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2020年7月27日 更新

H3ロケット試験機1号機の機能試験

H3ロケット試験機1号機用・1段機体

H3ロケット試験機1号機用・2段機体

愛知県にある三菱重工業株式会社飛島工場では、H3ロケット試験機1号機用1段機体と2段機体がその姿を現し、機能試験を実施しています。

(左写真)堂々と横たわっているのはH3ロケット試験機1号機の1段機体です。大きさは直径5.2m/長さ約37mあり、山手線の2両分に相当します。横に長く延びる筒状のクリーム色の部分が燃料を搭載する液体水素タンクと液体酸素タンクです。手前に見える下部には2基の1段エンジンLE-9を搭載しています。

(右写真)H3ロケット試験機1号機の2段機体です。クリーム色の部分が液体水素タンクで、H-IIAロケットでは直径4mでしたが、H3ロケットでは直径5.2mになります。銀色の断熱材を巻かれた液体酸素タンクと、LE-5B-3エンジン(ノズルは未装着)が結合されています。2段機体には、燃料タンクを支える構造部材や、燃料をエンジンに導く配管、機体を制御するための電気機器が搭載されています。

これまで苦労して完成させたコンポーネントが実際に打ち上げる機体として組みあがっている姿を初めて目にして、達成感を得ると同時に、打上成功に向けてより気が引き締まりました。

現在進めている機能試験とは、数多あるロケットの機能を一つ一つ丁寧に確認していく作業です。各機器へ電力を分配する機能が正しいか確認する試験や、各種センサからの信号が正しく出力されているか確認する試験、燃料を通す配管に漏れはないか、バルブは正しく動いているかなどを確認する試験を実施した後、1段機体と2段機体を電気的に結合して打上げ時と同じシーケンスを流して、各機器やバルブを動かし、信号が適切に出ているかを確認する試験を行います。

H3ロケットは今回が初めての機能試験です。機能試験を始めてみると思い通りには進まない部分があり、それを一つ一つ解決しながら前に進めています。機体の見た目こそ堂々とはしていますが、中身は生まれたての小鹿のように足元がおぼつかない状態です。最初に実施する電力分配の試験では、数百ある項目のスイッチを1点ずつ入れて、そのラインの電圧出力を確認して行くのですが、スイッチが見つからないといった簡単なトラブルから、機器間の信号がほんのわずかに時間がずれていてうまく通信できないなど、様々なトラブルが発生します。工場を出荷するまでには一人前のロケットとして送り出せるようにしたいと思います。

過去のロケット打ち上げ失敗事例では、この工場での機能試験で見いだせたはずのものがいくつかあります。見落としをしないよう、焦らず丁寧に確認作業を進めたいと思います。工場での機能試験を無事に完了すれば、いよいよ試験機1号機の機体を種子島宇宙センターに運んで機体を組み上げ、地上設備とのインタフェースの確認を行う総合システム試験が行われます。試験機の打ち上げに向けて、いよいよ山の頂が見えてきました。引き続き、気を引き締めて挑みます。

H3ロケットの特徴

使いやすいロケットを目指して

H3ロケットは、2020年度以降の世界でどのようなロケットが必要になるかを調査・予測し、それに応えるロケットとして、柔軟性・高信頼性・低価格の3つの要素を実現します。

柔軟性(High flexibility)

複数の機体形態を準備し、利用用途にあった価格・能力のロケットを提供します。
打ち上げまでの期間短縮により、「すぐに打ち上げたい」という利用者の声に応えます。

高信頼性(High credibility)

H-IIAロケットの高い打ち上げ成功率を継承し、確実に打ち上がるロケットにします。

低価格(High cost performance)

H-IIAロケットから打ち上げ価格を低減します。

過去最大のパワーと多様な機体形態

H3ロケットは2種類のフェアリング、第1段エンジン(LE-9)2基または3基、固体ロケットブースタ(SRB-3)0本、2本、4本の切り換えにより、様々な大きさや軌道の人工衛星の打ち上げに対応します。静止トランスファー軌道への打ち上げ能力は、これまでのH-IIAロケット、H-IIBロケットの能力を上回る過去最大に設定しています。

構成

H3ロケット標準型(H3-24L)主要諸元

全長(m) 63
全備質量(t) 574(H3-24L)(ペイロード除く)
誘導方式 慣性誘導方式

特集

岡田 匡史
2016年7月
H3はカスタマーファーストのロケットに
~技術志向からサービス志向への大転換

H3ロケットプロジェクトマネージャ
岡田 匡史

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