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地上と宇宙を結ぶ輸送システム H3ロケット

開発中

H3ロケットとは

日本の技術で、宇宙輸送をリードせよ。

H3ロケットは、柔軟性、高信頼性、低価格の3つの要素を実現することを目指し、2020年度に試験機の打ち上げを予定している日本の新しい基幹ロケットです。
国の重要な人工衛星や探査機などを宇宙へ輸送する手段を今後も日本が持ち続けるために、現在運用しているH-IIAロケットH-IIBロケットの後継機として開発されています。H3ロケットは、国の衛星だけでなく民間の商業衛星を毎年打ち上げていくことも視野に入れています。
JAXAとプライムコントラクタである三菱重工業(株)を始めとする国内の関連企業が開発段階から総力を結集して、これまで培った運用経験等を活かして全体のシステムを刷新し、低価格・柔軟性・高信頼性を兼ね備えたロケットの実現を目指します。

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2020年5月25日 更新

LE-9エンジン燃焼試験

It always seems impossible until it’s done.
(何事も成功するまでは不可能に思えるものだ)

Nelson Mandela
(ネルソン マンデラ)

ロケットの開発はいつのときも困難を極める。ロケットは大小様々な構成品からなっており、その部品点数は一般的におよそ100万点。それらのほぼ全てに対して厳しい検証試験が行われる。試験は上手く行くときもあれば行かないこともあるが、ロケット開発では上手くいかないことの方が多い。そしてロケットの開発試験の中でも最も困難を極めるのがエンジンの燃焼試験である。

ロケットを人間に例えると、エンジンはそのエネルギーを生み出す心臓と言える。エンジンはマイナス200℃程度の極低温の液体酸素と液体水素を1秒間にドラム缶約5本分を吸い込み、約3000℃の高温ガスへと燃焼させてそれを超音速で噴射し、ロケットが宇宙に到達するために必要な推進力を生み出す。このためその内部は極低温と超高温が存在し、超高圧、過酷な振動が負荷される。それゆえエンジンは故障を起こしやすく、世界のロケットの失敗原因の多くがエンジンまたはそれに関連する部分に起因している。またエンジン開発は故障との格闘の連続であり、エンジンの燃焼試験はロケット開発の中で最も困難と言われる。

LE-9エンジンの燃焼試験はJAXA種子島宇宙センターで行われている。H-IIA/Bに搭載されているLE-7Aエンジンの開発に使用した燃焼試験スタンドをLE-9用に改修して使用している。この燃焼試験スタンドはロケットの打ち上げ射点から数百mの目と鼻の先にしか離れておらず、エンジン燃焼試験とロケット打ち上げというリスクの高いもの同士が近接する、世界的にも珍しい試験スタンドである。前述のとおりエンジンは1秒間にドラム缶約5本分の推進薬を燃焼させる。LE-9の推進薬は酸素と水素なので、燃焼して出来るのは水蒸気である。燃焼試験で発生する大量の水蒸気は空中に舞い上がり、時として美しい虹をつくる。種子島の美しい海をバックに現れる虹は、関係者しか知らない絶景である。

エンジンの燃焼試験を開始する瞬間、コントロールルームは何とも言えない緊張感に包まれる。時には数年かけて行った様々なシミュレーションや要素実験を元にエンジンを設計/製造するが、燃焼試験でその努力が正しかったのかどうかが試される。闘牛の世界に「真実の瞬間」という言葉がある。闘牛士が闘牛に向かって最期の一撃を加える瞬間のことで、エンジンの燃焼試験はまさに真実の瞬間と言える。多くの関係者が長い年月かけて行った努力が正しかったのかどうか、成否を分かつ瞬間である。燃焼試験は何度経験しても慣れない。いつも寿命の縮む思いがする。

燃焼試験の結果が残念ながら設計意図とは異なっていることはよくある。酷いときにはエンジンの一部が破壊して緊急停止せざるを得ないような重大な故障が発生することもある。故障が発生するたびに関係者は頭を抱え、夜通し対策を検討する。自分が頑張って自信をもって設計したものほど、故障が発生したときには解決は不可能に感じる。しかし諦めずにそれらを1つ1つ解決していく。そうして、LE-9の燃焼試験は現在までのところ38回行ってきた。試験機1号機用エンジンの開発完了まであと6回、試験機2号機用エンジンの開発完了まで更にあと24回。まだまだゴールは遠く、無事開発を完了する姿をまだまだイメージできない。しかし必ずやり遂げられると信じて今日もまた真実の瞬間を迎える。

It always seems impossible until it’s done.

JAXA LE-9担当 H.K.

H3ロケットの特徴

使いやすいロケットを目指して

H3ロケットは、2020年度以降の世界でどのようなロケットが必要になるかを調査・予測し、それに応えるロケットとして、柔軟性・高信頼性・低価格の3つの要素を実現します。

柔軟性(High flexibility)

複数の機体形態を準備し、利用用途にあった価格・能力のロケットを提供します。
打ち上げまでの期間短縮により、「すぐに打ち上げたい」という利用者の声に応えます。

高信頼性(High credibility)

H-IIAロケットの高い打ち上げ成功率を継承し、確実に打ち上がるロケットにします。

低価格(High cost performance)

H-IIAロケットから打ち上げ価格を低減します。

過去最大のパワーと多様な機体形態

H3ロケットは2種類のフェアリング、第1段エンジン(LE-9)2基または3基、固体ロケットブースタ(SRB-3)0本、2本、4本の切り換えにより、様々な大きさや軌道の人工衛星の打ち上げに対応します。静止トランスファー軌道への打ち上げ能力は、これまでのH-IIAロケット、H-IIBロケットの能力を上回る過去最大に設定しています。

構成

H3ロケット標準型(H3-24L)主要諸元

全長(m) 63
全備質量(t) 574(H3-24L)(ペイロード除く)
誘導方式 慣性誘導方式

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