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宇宙科学・ 惑星探査の研究 X線天文衛星「すざく」(ASTRO-EII)

運用終了

X線天文衛星「すざく」(ASTRO-EII)とは

日米の協力で開発をした「すざく」
ブラックホールや銀河団の構造と進化を探ります

「すざく」(ASTRO-EII)は日本の5番目のX線天文衛星で、日米の国際協力により開発されました。1993(平成5)年8月に打ち上げられたX線天文衛星「あすか」(ASTRO-D)の装置を飛躍的に発展させ、優れた分光能力と、軟X線からγ線までの広い帯域(0.4~600 keV)を高感度で観測できるようになります。

2005年7月10日打上げ

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2015年10月20日 更新

「すざく」約1000万光年スケールで均一な元素組成、明らかに

「すざく」約1000万光年スケールで均一な元素組成、明らかに

JAXAのオーロラ・シミオネスク(Aurora Simionescu)研究員が率いる研究チームは、X線天文衛星「すざく」によるおとめ座銀河団の広域観測から、銀河団の内側から外縁部にわたって元素組成が一定であり、それは太陽系周辺の組成とほぼ同じであることを明らかにしました。

X線天文衛星「すざく」(ASTRO-EII)の特徴

世界最高水準のX線観測システムを国際協力で開発し、
激動する宇宙の姿をX線像とスペクトルから解き明かします

宇宙の中でも高温でかつ激しい活動領域からは、X線を中心に多量のエネルギー放射が行われています。
中性子星やブラックホールに極めて近い領域、あるいは超新星残骸、銀河中心核や銀河団など、「激しく活動している」宇宙の本質を知るためにはX線観測が最適です。
しかし宇宙からやって来るX線は、地球をとりまく大気により吸収・散乱されるので、地上で観測することができません。
そのためロケットや人工衛星を使った大気圏外での観測が必要なのです。

「すざく」では、3種の機器で観測します。
5台搭載される軟X線望遠鏡は、高エネルギーで世界でも最大級の有効面積を持ちます。
そのうちの1台にはX線天体のスペクトル観測をこれまでの10倍以上の分解能で行うX線分光計が組み合わされます。残りの4台にはX線CCDカメラが装備され、X線 領域で高品質の色鮮やかな撮影が可能になります。
これらの他にも、硬X線検出器も1台搭載され、望遠鏡より更に高いエネルギーのX線をカバーします。

「すざく」の特徴は、ブラックホールや銀河団といった宇宙の高エネルギー現象を観測する装置にあります。
日本はこの分野では世界のトップレベルにありますが、これまでの観測装置では難しかったX線輝線のドップラー効果の高精度な測定ができるようになります。
これにより、宇宙最大の規模を持つ 「銀河団」が衝突・合体した時のガスの運動の様子や、巨大ブラックホールに吸い込まれる直前の物質の運動や物理状態をつぶさに調べることができるはずです。
また感度が高まり、非常に遠方にある暗い原始天体の探索も可能になるなど、宇宙の構造と進化の解明に大きな役割を果たすことが期待されます。

2005年7月10日、M-Vロケット6号機により打ち上げられた「すざく」は、2015年8月に10年近くにもおよぶ科学観測運用を終え、現在は停波の為の作業を行っています。

X線天文衛星「すざく」(ASTRO-EII)主要諸元

国際標識番号 2005-025A
打上げ日時 2005(平成17)年7月10日 12:30
打上げロケット M-Vロケット6号機
打上げ場所 内之浦宇宙空間観測所
形状 約6.5m×2.0m×1.9m(伸展式工学ベンチ伸展時)
折りたたみ(3つ折り)の太陽電池パドル2枚を備えた八角柱
太陽電池パドルの端から端まで5.4m
質量 1,700kg
軌道 円軌道
軌道高度 570km
軌道傾斜角 31度
軌道周期 96分

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