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2019年(令和元年)9月理事長定例記者会見

理事長定例記者会見

山川理事長の定例記者会見のトピックスをお伝えします

日時:2019年(令和元年)9月6日(金) 13:30-14:30

場所:JAXA東京事務所 B1F プレゼンテーションルーム

司会:広報部長 鈴木 明子

2020年度予算概算要求について

 2020年度のJAXAに関連する概算要求につきまして、過去10年間で最高となります約2,045億円を文部科学省から要求していただきました。
 主には、来年度に試験機打上げを目指しておりますH3ロケットの開発や、先進光学衛星(ALOS-3)などの開発、そして世界初となります大型デブリ除去の実証を目指した技術開発、そして、国際宇宙ステーションへの効率的な物資輸送の実現に加えまして、深宇宙補給技術の獲得を目指しました新型宇宙ステーション補給機(HTV-X)の開発などの着実な推進に必要となります予算を要求させていただいております。
 これらの重要な既定のプロジェクトに加えまして、深宇宙探査における人類の活動領域の拡大や新たな価値の創出を目指し、国際協力による月面探査計画の参画に向けた取組に必要な予算も要求しております。
 1つ目は、2024年の有人月着陸に向けて建設される初期型Gatewayのミニ居住棟(Mini-HAB)に提供する機器等を開発するため、約12億円を要求させていただきました。また、「きぼう」等での実績があり、我が国として優位性や波及効果が見込まれる有人宇宙滞在技術のひとつであります、環境制御・生命維持装置や熱制御系ポンプ、そしてバッテリ等を提供することを考えております。
 2つ目は月極域探査計画です。この計画は、月極域における水氷の存在量や資源としての利用可能性を判断するためのデータ取得及び重力天体の表面探査技術の獲得を目指して、月極域の探査ミッションをインド等との国際協力で実施するものです。現在、探査機の開発と打上げは日本、着陸機の開発はインドという分担で検討や調整を進めており、来年度は、探査機の開発に着手して、探査機システム、ミッション機器の基本設計を開始するために、約6億円を要求させていただきました。
 また、航空関連予算としましては、戦略的次世代航空機研究開発ビジョンに基づきまして、静粛超音速機やエミッションフリー(電動推進)航空機の実現に向けた研究開発などを確実に推進していくため、前年度比で約3億円増となります約40億円を要求しております。

 宇宙基本計画、そしてJAXAの第4期中長期目標に則り、我々に与えられました役割と責務を自覚し、皆様のご期待に応えるべく、研究開発を引き続き推進してまいりたいと思います。ご理解とご支援を賜りますようよろしくお願いいたします。

火星衛星探査に向けた国際的な惑星保護方針への貢献について

 JAXAは、千葉工業大学、東京工業大学、東京大学、東京薬科大学と共同で火星衛星の微生物汚染を科学的に評価する研究を実施しました。
 この研究成果は、国際宇宙空間研究委員会(COSPAR)の惑星保護パネルに受理され、今年2019年3月に開催されたCOSPAR理事会でJAXAの火星衛星探査計画(Martian Moons eXploration: MMX)に対して承認されました。このCOSPARというのは、いま国際宇宙空間研究委員会と申し上げましたが、Committee on Space Researchの頭文字をまとめたもので、研究成果や情報、意見を交換することによって、国際レベルでの宇宙空間の科学研究を促進させることを目的として1958年に設立された国際学術組織でございます。
 MMXに関しましては、プロジェクト化を目指して新規性の高いキー技術の研究開発を先行して推進しており、2024年度(令和6年度)の打上げに向けて必要な予算の概算要求をさせていただいたところでございます。
 もう少し背景を説明いたしますが、宇宙探査を行う上では、各国の関係者が従わなければならないルールとして惑星保護方針(Planetary Protection Policy)がございます。そのルールには、対象天体の汚染が将来の調査に悪影響を及ぼす重大性を考慮して割り当てられますカテゴリー分けというのがございますが、これまで、火星衛星(フォボス・ダイモス)への往還については、このカテゴリーが定まっておりませんでした。
 このカテゴリー設定に必要な科学的活動におきまして、日本の研究チームが主導的な役割を果たしました。具体的には、過去500万年以内に火星から火星衛星に運ばれた可能性がある微生物が火星衛星でどのように分布しているかを評価し、探査機MMXで持ち帰ることを目指す試料中に微生物が含まれる可能性が、国際的に合意されている上限値を大幅に下回り、「安全」であることを科学的そして定量的に示しました。
 この研究成果がCOSPARという委員会に受理されたことは、MMXでも「はやぶさ2」と同じレベルで惑星保護方針の要求事項を行えば十分であることに国際的な合意が得られたこと、そして、COSPARの国際基準の惑星保護方針において日本が大きく貢献したことを意味しております。
 なお、本研究成果は、2019年7月付の欧州科学雑誌「Life Sciences in Space Research」の電子版に掲載されておりますので、ご覧いただければと思います。

H3ロケット用 固体ロケットブースター(SRB3)認定型モーターの地上燃焼試験の結果について

 ご承知のようにH3ロケットについては、打上げ年度を来年度に控えまして、開発が山場を迎えているところです。
 先般、8月28日には、H3ロケット用固体ロケットブースター(SRB3)の開発の一環としまして、種子島宇宙センター竹崎固体ロケット試験場におきまして、認定型モーターの地上燃焼試験を実施いたしました。認定型の試験とは、フライトモーター(打上げに供されるモーター)と同一仕様のモーターを用いて行うもので、設計及び製造・検査工程を確定するための試験となります。
 当日は天候にも恵まれまして、午前11:00に点火したロケットモーターは、105.5秒の燃焼を行い、試験は無事終了いたしました。現在は取得したデータの詳細な評価を進めているところです。
 このような地上燃焼試験は全体で3回実施する計画であり、昨年8月に設計の妥当性を確認するために行った実機型モーターの燃焼試験に続き、今回8月28日に行ったのが2回目です。あと1回の試験を経てモーターの認定が完了する予定です。H3ロケットの打上げに向けて、引き続き開発の努力を重ねてまいりたいと思います。

UAE(アラブ首長国連邦)のムハンマド・ビン・ラシード宇宙センター(MBRSC)との教育プロジェクトの実施について

 2016年に締結いたしましたJAXAとUAE宇宙庁との機関間協力のもと、JAXAとムハンマド・ビン・ラシード宇宙センター(MBRSC: Mohammed Bin Rashid Space Centre)は、宇宙技術分野での人材育成を目的としまして、「きぼう」日本実験棟にてJAXAの国際宇宙ステーション・きぼう船内ドローン「Int-Ball(イントボール)」を用いた教育プロジェクトを共同で実施します。このイントボールをいまきぼう船内ドローンと申し上げましたが、これは自分で姿勢をコントロールしながら「きぼう」の中を移動して、静止画と動画の撮影を行うことができるJAXAが開発した球形の小型ロボットです。超小型の三軸姿勢制御モジュールにより姿勢制御されており、この姿勢制御用のモジュールは一辺31mmの立方体にホイールやジャイロ等がパッケージ化されております。
 この教育プロジェクトは、9月25日から国際宇宙ステーションに向けてフライトをしますUAE初の宇宙飛行士が、ISS滞在中の9月30日頃(予定)にこのイントボールという船内ドローンを用いまして宇宙機の姿勢制御の原理を説明します。また、当日は、UAEの学生さんを筑波宇宙センターの管制室にお招きいたしまして、軌道上のUAE宇宙飛行士と質疑応答も行う予定です。
 また、これに先立ちまして、「きぼう」での教育ミッションの理解を深めるため、ドバイとアブダビにおきましてUAEの学生を対象とした宇宙用ロボット技術研究および宇宙機の姿勢制御技術に関する講演会をそれぞれ9月9日と10日にJAXAとMBRSCとの共催で行う予定にしております。
 このイベントは、インターネット中継で国内外に広く共有する予定ですので、次世代の教育に貢献することを期待しているところです。そして、今回の協力が、今後の「きぼう」利用の促進、およびUAEとの協力関係のさらなる発展につながるような有意義な機会になればと考えております。

「第26回 アジア・太平洋地域宇宙機関会議(APRSAF-26)」の名古屋での開催について

 11月26日(火)~29日(金)に、アジア・太平洋地域宇宙機関会議(APRSAF)を名古屋コンベンションホールで開催いたします。APRSAFとは、毎年、文部科学省とJAXAに加え、開催国の宇宙機関との共催で開催している宇宙関連国際会議で、今回で26回目となりますが、今回は日本での開催となります。参考までに、昨年はシンガポールで開催しております。
 今年のテーマは「Advancing Diverse Links Toward a New Space Era」(新たな宇宙時代を拓く多様な繋がりの発展)です。
 アジア・太平洋地域の宇宙開発利用はこの四半世紀の間に大きく発展してきました。衛星データを地上課題の解決に役立てる宇宙利用に加えまして、人工衛星の自主的な開発も進められるなど、地域全体の宇宙技術能力の向上が図られてきました。この地域では、近年、宇宙機関が新たに設立されるなど、宇宙開発利用が積極的に進められ、また、宇宙からの情報を利用する機関や産業界からの新規参入などによって宇宙にかかわるプレイヤーが急速に増えてきているところです。
 APRSAF-26には、アジア・太平洋、そして中東などの宇宙機関長、各国政府及び国際機関で宇宙開発を担当する方々や、さらに宇宙技術を利用する方々が多数集結します。これに加えまして、新たなプレイヤーでありますベンチャー企業や次世代の宇宙関連活動を担う若手世代の参加を得まして、多様なプレイヤー間の対話を中心としたパネルディスカッションなどを開催する予定です。
 APRSAFは新たな四半世紀を迎えまして、多様なプレイヤーとの多様な連携を生みながら一層進化して、次世代へと繋ぐ持続可能な宇宙開発利用を推進していきたいと考えております。日本がホスト国となるのは、今回で5年ぶり9回目です。この日本開催の機会をとらえまして、我々のような宇宙機関だけではなく、日本の宇宙ベンチャーやこれまで宇宙と関わりのなかった企業、研究機関や学生の方々など、さまざまな方にご参加いただきまして、アジア・太平洋地域の宇宙関係者との交流を足掛かりとしましてアジア・太平洋地域への研究やビジネス等への展開につながる機会をつくっていければと考えております。

「こうのとり」8号機の打上げに向けた状況について

 宇宙ステーション補給機「こうのとり」8号機の打上げも、いよいよ、来週9月11日(水)に迫ってまいりました。早朝午前6時33分頃に、JAXA種子島宇宙センターより打ち上げる予定です。今回は、宇宙活動法(人工衛星等の打上げ及び人工衛星の管理に関する法律)施行後、初のこうのとりの打上げとなります。
 三菱重工業(株)殿では、現在、順調に準備作業が進んでいると聞いております。当日、JAXAでは「こうのとり」8号機打上げの様子を、ライブでも中継する予定にしております。

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