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2019年(令和元年)12月理事長定例記者会見

理事長定例記者会見

山川理事長の定例記者会見のトピックスをお伝えします

日時:2019年(令和元年)12月13日(金) 13:30-14:15

場所:JAXA東京事務所 B1F プレゼンテーションルーム

司会:広報部長 鈴木 明子

第26回 アジア・太平洋地域宇宙機関会議(APRSAF-26)」の開催結果について

 先月末11月26日(火)~29日(金)の4日間、文部科学省およびJAXAの共催によりまして、「新たな宇宙時代を拓く多様な繋がりの発展」をテーマとして、第26回目のアジア・太平洋地域宇宙機関会議(APRSAF-26)を名古屋にて開催いたしました。
 31の国・地域、9つの国際機関から計469名の方々にご参加いただきまして、会議の成果文書としては、この先25年を見据えて、今後10年間の取り組みの方向性を示しました「APRSAF名古屋ビジョン」を採択しました。その中にあります4つの目標ですが、(1)広範な地上課題の解決の促進、(2)人材育成や科学技術力の向上、(3)地域の共通課題に対する政策実施能力の向上、(4)地域のニュープレイヤーの参画促進と多様な連携の推進、に取り組むことを確認いたしました。

 個別の成果といたしましては、新たな取組みを3つ立ち上げました。
 1つ目は、アジア太平洋地域の人工衛星を持つ国々が衛星データを提供し合い、多国間での利用を推進するプログラム「SAFE Evolution」を立ち上げました。これまでも「SAFE(Space Applications for Environment)」の活動は、「SAFE Initiative」というアジア太平洋地域の二国間協力として、宇宙技術、中でも宇宙からのリモートセンシング技術を用いた長期的な地球の観測を行うことで、気候変動に伴う社会問題を解決することを目的として取り組んでまいりました。
 この「SAFE Initiative」をさらに発展させて「SAFE Evolution」としたわけですが、従来二国間であった協力を多国間協力で宇宙技術を用いた地域の課題解決を推進するものです。
 日本そしてインドを中心とした多様な衛星データを利用可能にすることで、衛星データの持続的利用と利用者のニーズに合った情報提供をさらに推進する予定です。
 2つ目の新たな取り組みとしましては、高度な知見を有する人材育成として、将来、アジア太平洋地域で指導的役割を果たす人材を、日本の大学で育成する長期人材育成プログラム「JJ-NeST」(JICA-JAXA Network for Utilization of Space Technology)をJICA殿と協力して立ち上げました。今後、このプログラム参加者を軸にアジア太平洋地域における宇宙関連人材のネットワーク構築を図っていく予定でございます。
 さらに3つ目の新たな取り組みですが、宇宙関連産業の育成や振興を含む宇宙政策に関する情報交換へのニーズの高まりを受けまして、APRSAF-24の開催時より、地域における宇宙政策コミュニティの形成を支援してまいりましたが、このたび、新たに宇宙法制に関するイニシアティブ「National Space Legislation Initiative」を立ち上げました。地域の政策実務家間で、国際的な規範を実行するための各国の法政策の取組みについて共有し、相互学習をすることで、地域の共通課題に対する法形成そして政策実施能力の向上を図り、宇宙の安定的な利用に繋げていくことを目指した取り組みでございます。

 今回の会合では、さまざまなプレイヤーにもご登壇いただき、意見交換をさせていただきました。産業界の皆さまにも多数ご参加いただくとともに、将来の宇宙開発やサービス利用の担い手となります日本とアジアの高校生との宇宙機関長対話を通じて、将来の宇宙活動に対する率直な意見を得る機会もございました。

 全体として、感じるところを少し述べさせていただきますが、ここ数年で、アジア・太平洋地域における宇宙機関設立等の動きとともに、超小型衛星開発等の宇宙関連技術、および宇宙関連産業の育成や振興を含む宇宙政策に関する情報交換などが活発になされておりまして、各国ごとの取り組みだけではなく、アジア・太平洋地域全体で宇宙開発を推進していこうとするエネルギーを感じました。また、アジア太平洋地域にとどまらず、欧米や中東地域などからの参加者も増えており、協力連携がさらに拡大してきていると感じております。

 今後も、アジア・太平洋各国から宇宙に関心を持つ人々が集まって、さまざまなプレイヤーを繋ぎ、さらに関係を深化させる場所としてAPRSAFが機能することで、APRSAFの求心力がさらに高まることを期待しているところです。
 参考までに、次回第27回目のAPRSAFは来年2020年にベトナムで、また第28回目は再来年2021年にインドネシアで開催する予定です。

「はやぶさ2」の帰還運用について

 小惑星探査機「はやぶさ2」ですが、先月11月13日に小惑星リュウグウを離れ、イオンエンジンの試運転を実施後、先週、12月3日(火)日本時間11時42分にイオンエンジンの運転を開始し、予定通りの加速量を得たことを確認いたしました。現在、探査機の運用は正常、と報告を受けております。

 2014年12月に「はやぶさ2」を打ち上げましてから5年が経ちましたが、昨年2018年6月に小惑星リュウグウに到着して以降、そのリュウグウの観測に始まり、さらにMINERVA-IIやMASCOTの分離運用、衝突装置運用、そして2度にわたるタッチダウン運用など、国内外関係者の皆さまから多くのサポートをいただき、さまざまなミッションを成功させることができました。

 「はやぶさ2」は、これから約1年の航行を経て、来年2020年末に再突入カプセルの回収を目指しております。カプセルの大気圏再突入や狙った地点に着陸させるミッションも決して簡単ではないと考えております。プロジェクトチームには、採取した小惑星天体の表面や内部の物質を無事に回収し、確認できることを目指して、引き続き気を引き締めて、今後の運用に臨んでもらいたい、と思っております。

超小型衛星打上げ機会の提供について

 JAXAによりますCubeSatや50kg級の超小型衛星打上げ機会の提供といたしましては、国際宇宙ステーション(ISS)「きぼう」日本実験棟からの放出と、イプシロンロケットによる革新的衛星技術実証プログラム、及び、H-IIAロケット相乗りによる打上げがございます。

 その中でも「きぼう」から超小型衛星を放出する事業に関しましては、2018年に、Space BD株式会社殿と三井物産株式会社殿に移管しております。また、2017年3月には東北大学と北海道大学と、2017年4月には九州工業大学と、そして2018年4月には東京大学と連携協力協定を締結して、大学を通した「きぼう」からの超小型衛星放出機会の提供も行っております。

 そしてH-IIAロケット相乗りによる超小型衛星の打上げ機会提供につきましては、2006年に公募制度を開始してから約10年間にわたり、これまで32機の超小型衛星の打ち上げを行い、宇宙産業の裾野の拡大に努めて参りました。そして、今年9月の事業者公募、11月の事業者選定を経て、先週12月3日にSpace BD株式会社殿と基本協定を締結し、本事業、つまりH-IIAロケット相乗りによる超小型衛星の打上げ機会提供を民間企業へ移管いたしました。

 今後はJAXA衛星を搭載したH-IIAロケットおよびH3ロケットを使用して本事業を開始することになりますが、Space BD株式会社殿を戦略パートナーと捉え、本事業が確実に軌道に乗るよう、利用促進活動への協力や技術面での支援、そして助言等を行うとともに、将来の自立化に向けて技術移転を進めて参ります。
 超小型衛星の市場は今後も世界的な拡大が見込まれておりまして、Space BD株式会社殿の実行力とアイディアを活用し、H-IIAおよびH3ロケットを活用した独自のロケット相乗り超小型衛星打上げ機会の提供事業を国内外に広く提供してまいりたいと考えております。

「GCOM衛星利用シンポジウム」の開催について

 来週12月20日(金)に、【「しきさい」と「しずく」が捉えた地球~複数ミッションによるグローバル観測の時代~】と題しまして、「GCOM衛星利用シンポジウム」を御茶ノ水ソラシティホールで開催いたします。
 本シンポジウムは、地球環境変動観測ミッション(GCOM)を構成する2機の衛星、2012年5月に打上げました水循環変動観測衛星「しずく」(GCOM-W)および2017年12月に打上げました気候変動観測衛星「しきさい」(GCOM-C)の両者揃った観測データの提供一周年を機に開催するものです。

 近年のデータ解析技術やモデル化技術の進展を背景としまして、複数の地球観測衛星データをさまざまな手法や用途で使用する活動が進められております。例えば、地球観測衛星で捉えた代表的なものとしましては、「しずく」衛星が捉えた北極域における海氷面積の減少や、「しきさい」衛星によるアマゾン林野火災での火災地点や煙の検知がございます。また、「しずく」「しきさい」両衛星の観測データは、海面水温・海氷・火山の監視や漁業・農業でも使用されておりますし、温暖化予測の研究として、地球システムモデルと呼ばれるシミュレーションモデルへの入力にも使われております。

 今回のシンポジウムでは、そのような地球環境変動観測ミッションに関する気候変動研究や実利用機関における利用の成果につきまして、関係省庁・研究所・地方自治体の方々からご講演を頂くとともに、気象予報士の方から見た衛星観測についての講演をお願いしております。また、民間企業からの参加も含めた実利用およびサイエンス両分野のパネルディスカッションを行う予定です。
 シンポジウムで得られましたご意見・ご要望を踏まえまして、ステークホルダーであります関係府省庁・地方自治体・研究所・民間企業等の様々な分野に貢献する地球観測を推進していきたいと考えております。是非お越しいただければと思います。

宇宙実証用ハイパースペクトルセンサ「HISUI」の「きぼう」船外実験プラットフォームへの設置完了について

 経済産業省殿が開発・運用を担当しております、宇宙実証用ハイパースペクトルセンサ「HISUI」についてです。
 先週12月6日にSpaceX社の「SpX-19」で国際宇宙ステーション(ISS)に向けて打ち上げられた後、12日に「きぼう」日本実験棟の船外プラットフォームへの設置を完了いたしました。
 JAXAは、経済産業省殿と締結した「HISUI」の「きぼう」搭載に係る協定のもと、JAXAの物資補給リソースの一部として「HISUI」をISSに輸送すること、軌道上でのロボットアーム運用を行い、「HISUI」を「きぼう」の船外へと設置すること、そして、「HISUI」の取得データを地上で回収するための船内支援作業を担当しております。

 現在、JAXAにて「HISUI」の初期起動を完了し、経済産業省殿が、観測に向け機器の機能確認を実施しているところです。今後、今月12月下旬から観測が開始される予定と聞いております。
 「HISUI」ミッションでは、観測データを用いて、精密に地表の物質を特定することを目指しており、将来的に石油や金属・鉱物などの資源調査等への活用が期待されております。
 今後も、JAXAは「きぼう」を宇宙技術実証の場として広く提供し、世の中に新しい価値を創造できるよう貢献していきたいと考えております。

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