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気候変動観測衛星「しきさい」観測データの提供開始について

平成30年12月20日

国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構

国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、平成29年12月23日に打ち上げた気候変動観測衛星「しきさい」(GCOM-C)の初期機能確認運用及び初期校正検証運用を予定通り終了し、平成30年12月20日より「しきさい」観測データの提供を開始しました。このデータは、どなたでも自由にご利用いただけます

「しきさい」は、近紫外から熱赤外までの19の観測波長帯(色)を持ち、偏光・多方向、近紫外観測といった特徴的な機能を有しています。「しきさい」は、1000㎞以上の観測幅で全地球を約2日間かつ高い分解能(250m)で観測することができ、雲・エアロゾル、植生などの温暖化予測の精度向上に不可欠なデータのほか、漁場予測や、黄砂の飛来、赤潮発生状況の把握など、私たちの生活環境に関わるデータを提供していきます。

JAXAの地球観測衛星データ提供システム(G-Portal)により無償提供
URL:https://gportal.jaxa.jp/gpr/
担当窓口:地球観測衛星データ提供システム(G-Portal)サポートデスク
E-mail:z-gportal-support[a]ml.jaxa.jp
注)[a]は@変更してください。

[別紙]

1. 「しきさい」の概要

気候変動観測衛星「しきさい」(GCOM-C)は、地球規模での気候変動メカニズムの解明のため、地球上の様々な物理量を全地球規模で継続的に観測するシステムを構築して利用実証するとともに、観測データを気象や漁業等の実利用機関に提供して現業分野への貢献を行うことを目的とした衛星です。
「しきさい」搭載の多波長光学放射計(SGLI)は、近紫外から熱赤外までの19の観測波長帯(色)を持ち、偏光・多方向、近紫外波長、250mの空間分解能、かつ1000㎞以上の観測幅(全球を約2日間で観測)といった特徴的な機能を持ちます。この「しきさい」の多彩な機能を用いて作成される雲・エアロゾル・植生等の観測プロダクトは、気候予測精度向上に向けた研究に加え、漁場予測・赤潮の把握・黄砂の飛来など、私たちの生活に関わる情報発信に役立つことが期待されます。

2. 主な経緯

打ち上げから以下のような運用を実施し、当初の計画通り本日のデータ提供開始に至っています。

・2017年12月23日 「しきさい」打ち上げ
・2018年1月1日 初画像取得
・3月28日~ 定常運用(初期校正検証運用)開始
・9月26日~ 「しきさい」サンプルデータの提供を開始
・12月14日~ 初期校正検証運用を終了し、定常観測運用開始
・12月20日~ 観測データの提供開始

今後は運用期間(打ち上げから5年間)中、全球観測運用を行うとともに、データプロダクトの改善・作成・提供を継続する計画です。

3. 初期校正検証の概要

微小な地球環境変動シグナルを検出するためには高精度のプロダクトが必要となります。そのため、「しきさい」に搭載されている太陽光・内部光源・温度基準黒体・月観測等による校正と、共同研究機関(大学、気象研、JAMSTEC、NOAA等)や観測ネットワーク(SKYNET、AERONET、AsiaFlux等)の協力で取得した地上観測データと「しきさい」観測値との比較(校正・検証)を実施しました。その結果、陸域、大気、海洋、雪氷に関わる29種類のプロダクト全てが利用開始に必要な精度を達成していることを確認しました。今後もプロダクトの改善を継続して実施していきます。

4. 「しきさい」の観測プロダクト

今回、提供開始する「しきさい」プロダクトは表1のとおりです。

表1 提供開始する29種類の「しきさい」プロダクト

表1

(1)地表面温度

「しきさい」の熱赤外チャンネルは1000km以上の走査幅を持つセンサとしては世界一の高分解能(250m)を持ちます。これにより、昼夜の地表面温度の変化を詳細に観測できます。図1は2018年11月15日の昼間10時と夜間22時頃の関東の地表面温度です。夜間に都心部や沿岸部において、他の領域に比べて冷えにくい様子が捉えられています。

2018/11/15日中(10:10頃)

2018/11/15夜間(22:00頃)

図1 2018年11月15日の昼10:10頃(左図)と同日の夜22:00頃(右図)の地表面温度

図2a

2018年10月平均の全球クロロフィルa濃度

図2b

2018年11月15日の瀬戸内海周辺250m解像度クロロフィルa濃度

(2)クロロフィルa濃度

クロロフィルa濃度は、多くの植物プランクトンが持つ光合成色素で、海洋生態系の食物連鎖を支える基礎生産(光合成による炭素固定)に関わります。「しきさい」の全球観測(図2a)と沿岸250m解像度観測(図2b)により、全球規模の海洋生態系の変動監視だけでなく、領域スケールの漁場予測や赤潮発生状況の把握等の利用も期待されます。

(3)エアロゾル

「しきさい」の偏光観測や近紫外波長観測によって都市域や火災等で発生するエアロゾルの検出ができます。図3aでは、北アメリカ、アフリカ中南部、シベリア東部など世界各地の森林火災等によるエアロゾルの分布が捉えられています。「しきさい」が持つ近紫外波長を用いて、雲とエアロゾルをより明確に識別することもできます(図3b)。

図3a 「しきさい」867nm波長の偏光輝度の2018年8月11日~20日平均値

図3b

2018年8月19日の北アメリカ西部のRGB画像。

RGBに672nm、530nm、443nmを割り振った人の目に近いRGB画像(左図)と、672nm、530nm、380nm(近紫外)を割り振った画像(右図)。

(4)植生・積雪

「しきさい」の高頻度観測を生かし、植生や積雪等の季節変動の観測ができます。図4は2018年10月5日~11月23日北海道周辺の画像です。10月5日(左上)はまだ全体的に緑が濃いですが、11月4日(右上)になると紅葉・落葉し、大雪山や余市岳のあたりが積雪で覆われはじめています。11月20日(左下)になると大雪山から屈斜路湖にかけて積雪で覆われ、11月23日(右下)には西高東低の冬型の気圧配置により、筋状の氷雲が多数発達し、帯広などの平地も積雪で覆われ始めた様子が分かります。

図4 「しきさい」による2018年10月5日~11月23日の北海道の画像
赤、緑、青にSGLIのSW3(波長1630nm)、VN11(868.5nm)、VN8(673.5nm)を使用したRGB合成画像。氷雲、積雪が水色、植生が緑、裸地が茶色、海面が黒色に写っている。

5. 公開方法

本日12月20日よりJAXAの地球観測衛星データ提供システム(G-portal:https://gportal.jaxa.jp/gpr)を通じて「しきさい」観測データの提供を開始します。

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