水循環変動観測衛星「しずく」(GCOM-W)とは
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「地球環境変動観測ミッション(GCOM: Global Change Observation Mission)」は、地球規模での気候変動、水循環メカニズムを解明するため、全球規模で長期間(10~15年程度)の観測を継続して行えるシステムを構築し、そのデータを気候変動の研究や気象予測、漁業などに利用して有効性を実証することを目的としたミッションです。 GCOMには水循環変動観測衛星(GCOM-W)と気候変動観測衛星(GCOM-C)という2つのシリーズがあります。マイクロ波放射計を搭載するGCOM-Wは降水量、水蒸気量、海洋上の風速や水温、陸域の水分量、積雪深度などを観測します。 水循環変動観測衛星「しずく」(GCOM-W)は2012年5月18日に打ち上げられ、水蒸気や海面水温、土壌水分や雪氷などの変動を捉えた観測データを観測から2.5時間以内に配信しています。観測データは気象庁など主要機関に配信され、天気予報や海洋速報など、私たちの生活に役立てられています。また2018年2月には、全球海氷面積の最小値を観測し南北両極での海氷面積の減少傾向を明らかにしています。 |
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トピックス
一覧グリーンランド 初夏の大融解(地球が見える2019年)
気候変動観測衛星しきさいや水循環変動観測衛星しずくを統合したグリーンランド氷床の融解域モニタから、2019年6月の氷床の融解面積が直近の数年間において最も拡大していたことが確認されました。以下では特徴的な領域の事例と共に、北極域に位置するグリーンランドの初夏の大融解を紹介します。 今年6月、北極域グリーンランド北西部にあるカナック村を取り囲むフィヨルドで撮影された写真が、デンマーク気象協会の研究者によって公開され話題となりました。まるで海の上を犬橇が駆けているように見えますが、実はこの水面のすぐ下には海氷があり、氷の上を橇が走っているのです。極域や高緯度の海域に存在する海氷は夏になると表面が融解し、氷の上に水たまりを形成します。このような海氷上の水たまりをメルトポンドと呼びます。この地域では例年7月頃には海氷が融解しますが、今年は少し早い時期にフィヨルドを覆っている海氷の表面が広範囲で融解したことで、大規模なメルトポンドが形成されたようです。このようなカナック周辺のフィヨルドにおける大規模なメルトポンドの形成は、宇宙からもその姿が捉えられていました。 [詳細はこちら] ![]() 左:気候変動観測衛星しきさい(GCOM-C/SGLI)が撮影したグリーンランド氷床全体のトゥルーカラー画像*1。図中赤枠が右図の領域。 |
プレスリリース
一覧-
- 2019年9月27日 15:00 プレスリリース
- 北極海の海氷面積が9月17日に年間最小値を記録 ~薄氷化が進行~
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- 2019年3月28日 14:00 プレスリリース
- 衛星全球降水マップ(GSMaP)の活用に向けた気象庁と宇宙航空研究開発機構の技術開発連携について
水循環変動観測衛星「しずく」(GCOM-W)の特徴
宇宙で回る世界最大の回転アンテナAMSR2
「しずく」に搭載される高性能マイクロ波放射計2(AMSR2)は、地表や海面、大気などから自然に放射されるマイクロ波とよばれる電磁波を、7GHzから89GHzまでの6つの周波数帯で観測するセンサです。 地上からのマイクロ波を受信するAMSR2のアンテナ部分は、1.5秒間に1回転のペースで地表面を円弧状に走査し、1回の走査で約1,450kmもの幅を観測します。 |
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主要諸元
国際標識番号 | 2012-025A |
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打ち上げ日時 | 2012(平成24)年5月18日 1:39 |
打ち上げロケット | H-IIAロケット21号機 |
打ち上げ場所 | 種子島宇宙センター |
形状 | 2翼式太陽電池パドルを有する箱形 4.9m×3.0m×奥行5.1m(太陽電池パドル両翼端間17.7m) |
質量 | 約1,900kg(打ち上げ時) |
軌道 | 太陽同期準回帰軌道 |
軌道高度 | 約700km (赤道上) |
軌道傾斜角 | 約98度 |
昇交点通過地方太陽時 | 13時30分 ±15分 |
特集
- 2013年12月11日
- 動画ニュース:宇宙から地球を健康診断する衛星「しずく」
- 2008年7月1日
- 私たちの地球を守るために~環境問題に貢献するJAXAの取り組み~
- 2007年
- チームリーダが語る私たちのミッション
パンフレット
- 水循環変動観測衛星「しずく」(GCOM-W)
(2.7MB)