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地上と宇宙を結ぶ輸送システム H3ロケット

開発中

H3ロケットとは

日本の技術で、宇宙輸送をリードせよ。

H3ロケットは、柔軟性、高信頼性、低価格の3つの要素を実現することを目指し、2020年度に試験機の打ち上げを予定している日本の新しい基幹ロケットです。
国の重要な人工衛星や探査機などを宇宙へ輸送する手段を今後も日本が持ち続けるために、現在運用しているH-IIAロケットH-IIBロケットの後継機として開発されています。H3ロケットは、国の衛星だけでなく民間の商業衛星を毎年打ち上げていくことも視野に入れています。
JAXAとプライムコントラクタである三菱重工業(株)を始めとする国内の関連企業が開発段階から総力を結集して、これまで培った運用経験等を活かして全体のシステムを刷新し、低価格・柔軟性・高信頼性を兼ね備えたロケットの実現を目指します。

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2019年4月16日 更新

第1段厚肉タンクステージ燃焼試験について


世界遺産で有名な白神山地の近く、秋田県大館市の田代岳に向かう林道を奥へ奥へと進むと三菱重工業(株)の田代試験場があります。ここでは、今まさにH3ロケットの1段推進系開発の山場である燃焼試験が行われています。この燃焼試験は「第1段厚肉タンクステージ燃焼試験」と言います。ステージ燃焼試験とは、推進薬タンクとエンジンを組み合わせ飛行時の圧力や温度を地上で模擬した総合的な燃焼試験です。厚肉タンクという名称は、実機のアルミ合金製タンクではなくステンレスの頑丈な推進薬タンクを用いるため、こう呼ばれています。英語名はBattleship Firing Testと言い、直訳すると軍艦(のように丈夫なタンクを用いた)燃焼試験です。関係者は頭文字をとってBFT(ビーエフティー)と呼んでいます。

種子島で行われているLE-9エンジンの燃焼試験は「エンジン単体(1基)」の燃焼試験ですが、BFTではタンク以外は実機と同じ構成部品を使用し、LE-9エンジンは実機と同じ2基もしくは3基を束ねる(「クラスタ」と呼びます)大規模な燃焼試験です。2019年1月からH3ロケットのエンジン2基形態のBFTが始まりました。試験全体を取りまとめる三菱重工業(株)名古屋航空宇宙システム製作所(通称、「名航」)、エンジン・ターボポンプ開発を担う三菱重工業(株)名古屋誘導推進システム製作所(通称、「名誘」)、および(株)IHIの3社を主体とし、多くの関係業者や地元企業の協力の下、試験を進めています。試験当日は深夜から作業を開始し、推進薬タンクに液体水素と液体酸素を充填するところから始まります。さながら実際のロケット打上げと同じ長時間での作業です。燃焼試験ではクラスタしたLE-9エンジンを同時に着火させ、燃焼中はフライトと同様にエンジンからもらうガスを利用してタンクの圧力を制御します。また、電動アクチュエータを用いてロケットが進みたい方向にエンジンの姿勢を変える(ジンバル)試験もBFTで初めて検証します。これらH3ロケットで刷新された新たな推進系の構成部品の準備に苦労しましたが、現在はBFTを一歩一歩着実に進めています。

BFTは大規模試験が故に中身の濃い試験内容になるため、ひとつのミスが大きな事故につながりかねない緊張の中で試験が行われます。関係者にとっては、プレッシャの中で平常心を保ちつつ作業を進行していくロケット打上げに向けた修練の場でもあります。土地柄、冬季は深い深い雪に覆われる場所ですので、作業者はロケットの整備作業だけでなく雪かきも行います。まさに精神的にも体力的にもタフな作業を遂行しています。ロケット開発は関係者のひたむきな努力と地道な作業の積み重ねがあってのものです。2019年4月12日に2基形態の最終試験である4回目のBFTが無事に終了し、今後は入念に試験結果を評価した後、エンジンを1基追加し、3基形態の試験へと開発を進めていきます。一連のBFTシリーズを乗り切ることで、ロケットも人も成長した姿で次の開発ステップに進むことができます。


燃焼試験スタンドの概要


燃焼試験時の様子

H3ロケットの特徴

使いやすいロケットを目指して

H3ロケットは、2020年度以降の世界でどのようなロケットが必要になるかを調査・予測し、それに応えるロケットとして、柔軟性・高信頼性・低価格の3つの要素を実現します。

柔軟性(High flexibility)

複数の機体形態を準備し、利用用途にあった価格・能力のロケットを提供します。
打ち上げまでの期間短縮により、「すぐに打ち上げたい」という利用者の声に応えます。

高信頼性(High credibility)

H-IIAロケットの高い打ち上げ成功率を継承し、確実に打ち上がるロケットにします。

低価格(High cost performance)

H-IIAロケットから打ち上げ価格を低減します。

過去最大のパワーと多様な機体形態

H3ロケットは2種類のフェアリング、第1段エンジン(LE-9)2基または3基、固体ロケットブースタ(SRB-3)0本、2本、4本の切り換えにより、様々な大きさや軌道の人工衛星の打ち上げに対応します。静止トランスファー軌道への打ち上げ能力は、これまでのH-IIAロケット、H-IIBロケットの能力を上回る過去最大に設定しています。

構成

H3ロケット標準型(H3-24L)主要諸元

全長(m) 63
全備質量(t) 574(H3-24L)(ペイロード除く)
誘導方式 慣性誘導方式

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