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地上と宇宙を結ぶ輸送システム H3ロケット

開発中

H3ロケットとは

日本の技術で、宇宙輸送をリードせよ。

H3ロケットは、柔軟性、高信頼性、低価格の3つの要素を実現することを目指し、2020年度に試験機の打ち上げを予定している日本の新しい基幹ロケットです。
国の重要な人工衛星や探査機などを宇宙へ輸送する手段を今後も日本が持ち続けるために、現在運用しているH-IIAロケットH-IIBロケットの後継機として開発されています。H3ロケットは、国の衛星だけでなく民間の商業衛星を毎年打ち上げていくことも視野に入れています。
JAXAとプライムコントラクタである三菱重工業(株)を始めとする国内の関連企業が開発段階から総力を結集して、これまで培った運用経験等を活かして全体のシステムを刷新し、低価格・柔軟性・高信頼性を兼ね備えたロケットの実現を目指します。

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2019年8月6日 更新

~縁の下の力持ち~ ロケット運搬台車について

移動発射台(Movable Launcher:通称「ML」)は、種子島宇宙センターで最終的にロケットを組み立てる際の台座で、打上げ当日には大型ロケット組立棟から射点までロケット機体を運び、遠隔での燃料充填や、打上げ直前まで最終点検を行う際に使われます。また打上げ時、発射台の役割も担います。JAXAでは、H3ロケット専用のMLを新しく開発しており、2018年11月上旬に工場で製作・試験・検査を終えた後、7回に分けて種子島宇宙センターに海上輸送し組立を行いました。その後、様々な整備・点検を経て、2019年6月から大型ロケット発射場にて、運搬台車(通称「ドーリー」)と組み合わせた走行試験をしています。

6月中旬から数日かけて行われた初めての走行試験では、2機のドーリーが新しいMLを持ち上げ、射点に入る動作や、大型ロケット組立棟から射点間の約500mを走行する試験をおこないました。続いて6月下旬に行われた試験では、H3ロケット本体と同じ重さのウェイト(おもり)を載せた状態で走行試験を行いました。現在、ML内部の電気系設備の点検をしており、今後、他の設備との組み合わせた状態での機能・性能試験を実施して、機体と組み合わせた総合システム試験に臨む予定です。

今回新しく開発したMLとドーリー、それぞれの特徴を解説します!

ここが凄いぞ!~新型移動発射台(ML)~

現在使用されているH-IIBロケットのMLと比較して詳しく見てみましょう。

H3用MLは、H-IIB用MLと比較して、大きく3つの違いがあります。

  1. ロケット機体の移動時など、MLのマストなどに当たった風の後流れの影響で機体が揺れることがあります。この揺れを最小限に抑えるため、マストの上部の断面形状を変更するとともに、ふたつのマストと連結するオーバーブリッジを削除しています。
  2. 液体ロケットエンジン、固体ロケットブースタの煙(噴流)が流れるMLの開口部を大きくしています。H-IIB用MLでは各噴流に対して小さい開口部を5つ設けているのに対し、H3用MLでは大きな開口部を1つにしました。

H-IIBロケット用ML

H3ロケット用ML

これは次の3つの狙いがあります。

打上げ時の熱損傷を減らす

現行のH-IIA/B用MLから開口部を広く取ることで、打上げ時の噴流の熱などによる構造体の損傷を抑えます。また、上部デッキにあった推進薬や高圧ガス、水などの配管や機体固定台を無くすことで打上げ後の補修が容易になり、打上げ間隔を短縮することができます。

打上げ時の音響を低減する

射点には、打上げ時に発生する音響を抑えるために注水システムを備えています。現行のH-IIA/BロケットではMLにも注水装置がありますが、H3ロケットでは、ML開口部を大きくすることで発生する音を小さくすることで注水量を減らし、注水システムの簡素化を図っています。また、MLにあったものを地上に移すことでMLが射点に到着した後の水配管の接続作業が不要となり、運用性を向上しています。

H-IIBロケット

H3ロケット

ロケットの支え方が違う!

H-IIA/B用MLでは上面に設置した台座4か所でロケット機体を支えています。一方、H3用MLでは大きくなった開口部の側面に取り付けられた可動式の支持部4か所でロケット機体を支える方式が採用しています。H-IIBロケットより全長が6.4m高くなったH3ロケットを既存の大型ロケット組立棟で組み立てられるようにしています。また、支持部をMLの構造内に退避させることで噴流による損傷を防ぎ、打上げ後の補修作業を短縮します。

H-IIBロケット

H3ロケット

このように様々な工夫を施すことで、打上げ後の設備補修にかかる期間を大幅に短縮することができ、従来約2か月必要であった打上げ間隔を1か月以下に抑えることが出来るようになります。

③ H-IIA/Bロケットとは異なり、H3ロケットでは、固体ロケットブースタがなく液体ロケットエンジンだけで飛ぶ機体形態(H3-30形態)があります。これまでのH-IIA/Bロケットでは、液体ロケットエンジンが正常に立ち上がった状態でも固体モータが「おもり」となり、固体モータが点火するまでは機体は飛び上がりません。しかし、H3-30形態ではおもりとなる固体ロケットブースタがないため、液体ロケットエンジンが立ち上がるまでの間、機体が飛び上がらないにように押さえつける(ホールドダウンする)必要があります。そのために、H3用MLではホールドダウン・システムを採用しています。これにより、液体ロケットエンジンが正常に立ち上がったことを確認した上で打ち上げることで、高い信頼性を確保します。

ここが凄いぞ!~新型ドーリー~

ロケットを搭載したMLを大型ロケット組立棟から打上げ射点まで運ぶ役割を担うのが移動発射台運搬台車、通称「ドーリー」です。ドーリーは組立・整備を終えたロケットを移動発射台ごと持ち上げ、走行路に埋設されたマグネットを検知して自動で走行・停止します。1台に56輪のタイヤがあり、2台でMLを持ち上げます。時速2kmという人が歩くよりもゆっくりしたスピードで慎重にロケットを運びます。
現在使用されているH-IIA/Bロケット用のドーリーと比較して詳しく見てみましょう。

信頼性の向上

今回新たに開発したドーリーでは万一の故障した際にも30分以内に復旧して作業を継続できるようになりました。

維持費の低減

汎用部品を多用すること、また従来定期的に点検をしていた項目の一部において、セルフチェック機能を導入や健全性データのモニタにより必要な時に必要な点検を行うことなどにより、年間のメンテナンス費を半減以下にできるようになりました。

運用性の向上

H-IIA/Bロケットでの運用経験を活かし、メンテナンスしやすいよう部品を配置するなど工夫を施しています。また、H3ロケットだけではなくH-IIA/Bロケットにも使うことができます。

H-IIA/Bロケット

H3ロケット

このようにロケットの打上げに不可欠な地上設備においても、2020年度の試験機1号機の打上げに向けて、着々と準備が進んでいます。

New Movable Launcher for H3

H3ロケットの特徴

使いやすいロケットを目指して

H3ロケットは、2020年度以降の世界でどのようなロケットが必要になるかを調査・予測し、それに応えるロケットとして、柔軟性・高信頼性・低価格の3つの要素を実現します。

柔軟性(High flexibility)

複数の機体形態を準備し、利用用途にあった価格・能力のロケットを提供します。
打ち上げまでの期間短縮により、「すぐに打ち上げたい」という利用者の声に応えます。

高信頼性(High credibility)

H-IIAロケットの高い打ち上げ成功率を継承し、確実に打ち上がるロケットにします。

低価格(High cost performance)

H-IIAロケットから打ち上げ価格を低減します。

過去最大のパワーと多様な機体形態

H3ロケットは2種類のフェアリング、第1段エンジン(LE-9)2基または3基、固体ロケットブースタ(SRB-3)0本、2本、4本の切り換えにより、様々な大きさや軌道の人工衛星の打ち上げに対応します。静止トランスファー軌道への打ち上げ能力は、これまでのH-IIAロケット、H-IIBロケットの能力を上回る過去最大に設定しています。

構成

H3ロケット標準型(H3-24L)主要諸元

全長(m) 63
全備質量(t) 574(H3-24L)(ペイロード除く)
誘導方式 慣性誘導方式

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