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地上と宇宙を結ぶ輸送システム H3ロケット

開発中

H3ロケットとは

日本の技術で、宇宙輸送をリードせよ。

H3ロケットは、柔軟性、高信頼性、低価格の3つの要素を実現することを目指し、2020年度に試験機の打ち上げを予定している日本の新しい基幹ロケットです。
国の重要な人工衛星や探査機などを宇宙へ輸送する手段を今後も日本が持ち続けるために、現在運用しているH-IIAロケットH-IIBロケットの後継機として開発されています。H3ロケットは、国の衛星だけでなく民間の商業衛星を毎年打ち上げていくことも視野に入れています。
JAXAとプライムコントラクタである三菱重工業(株)を始めとする国内の関連企業が開発段階から総力を結集して、これまで培った運用経験等を活かして全体のシステムを刷新し、低価格・柔軟性・高信頼性を兼ね備えたロケットの実現を目指します。

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2019年12月27日 更新

フェアリング分離放てき試験

試験画像1
試験画像2

年の瀬も押し迫った2019年12月17日、兵庫県の川崎重工業株式会社播磨工場でフェアリング分離放てき試験が実施されました。フェアリングはロケットの先端に位置し、ロケットが大気中を飛行する間に大気によって生じる力や、空力加熱によって生じる熱からペイロードを保護するための役割を果たしています。分離放てき試験は実際のフライトと同様に分離機構を作動させ、フェアリングが設計どおりに分離し機体から離脱(放てき)されることを検証するための試験です。また、約4年に渡ったH3フェアリング開発の最後を飾る試験でもあります。
当日は朝から時折雨が降るあいにくの空模様でしたが、早朝から始まった試験準備は順調に進み、予定どおり試験を実施することができました。これまで国内で開発された中で最大となる全長16.4m・直径5.2mのフェアリングを結合している数百本のボルトが分離信号とともに火薬で瞬時に切断され、バネの力で左右に分離していく様は正に圧巻の一言でした。分離された左右のフェアリングは美しい円弧を描きながら同時にクッションに着地し、関係者の拍手が沸き上がりました。

H3フェアリングは、これまでH-IIA/Bおよびイプシロンロケットで成功を積み重ねてきた技術を活用するとともに、新しい技術の導入にも積極的に挑戦しています。実績のある設計を採用した代表例は分離機構です。分離機構はH-IIA/Bやイプシロンから大きな設計変更はしておらず、フェアリングにとって最も重要な信頼性が維持される設計になっています。一方、新規に採用した技術としては、主構造(ハニカムパネル)の表面の材料をアルミから炭素繊維強化プラスチック(CFRP)へ変更した点が代表例として挙げられます。材料の変更に併せて製造方法も最新化しており、ハニカムパネルを製造する際にCFRPのシートを機械で自動的に積層できる装置を新規導入しました。ハニカムパネル1枚毎のサイズも大型化し、最終の組立工程でつなぎ合わせるパネル点数を大幅に削減することで、製品全体の製造コストを低減できるようにしています。またCFRPを適用することにより、今まで以上に容易に複雑な形状を作ることが可能になったため、フェアリング全体の形状を滑らかな流線形上の曲面で成形することができました。形状を変更したことで、空力抵抗が低減されて打上げ能力が向上するとともに、フェアリング周りの空気の流れも安定し、振動環境の低減にも貢献しています。併せて、フェアリングを熱から防護する断熱材については、イプシロンで打上げ実績のある貼付式の断熱材を適用し、吹き付け式の断熱材に必要だった専用の塗装ブースを不要とし、シンプルな製造設備で断熱材施工ができるようにしています。

フェアリングは、ロケットのお客様(カスタマー)であるペイロードを宇宙に届けるまでやさしく包み込み護るという役割があり、カスタマーに一番近いサブシステムです。カスタマーサービスを重んじるH3ロケットにとって非常に重要なサブシステムであることから、先に述べた新規技術などによってカスタマーの要望(例えば、ペイロードにアクセスするためのドアの取り付け位置や、その位置決めの時期)に柔軟に対応できるようになったと考えています。
2020年度の打上げに向けて、今回の分離放てき試験で取得したデータ評価を含め、これまでの開発結果をしっかり確認し、開発の総仕上げをしていきます。そして、H3を国際的に競争力のあるロケットとして世の中に送り出せるよう、気持ちを新たに関係者一丸となって試験機の打上げ成功を目指したいと思います。

H3ロケットの特徴

使いやすいロケットを目指して

H3ロケットは、2020年度以降の世界でどのようなロケットが必要になるかを調査・予測し、それに応えるロケットとして、柔軟性・高信頼性・低価格の3つの要素を実現します。

柔軟性(High flexibility)

複数の機体形態を準備し、利用用途にあった価格・能力のロケットを提供します。
打ち上げまでの期間短縮により、「すぐに打ち上げたい」という利用者の声に応えます。

高信頼性(High credibility)

H-IIAロケットの高い打ち上げ成功率を継承し、確実に打ち上がるロケットにします。

低価格(High cost performance)

H-IIAロケットから打ち上げ価格を低減します。

過去最大のパワーと多様な機体形態

H3ロケットは2種類のフェアリング、第1段エンジン(LE-9)2基または3基、固体ロケットブースタ(SRB-3)0本、2本、4本の切り換えにより、様々な大きさや軌道の人工衛星の打ち上げに対応します。静止トランスファー軌道への打ち上げ能力は、これまでのH-IIAロケット、H-IIBロケットの能力を上回る過去最大に設定しています。

構成

H3ロケット標準型(H3-24L)主要諸元

全長(m) 63
全備質量(t) 574(H3-24L)(ペイロード除く)
誘導方式 慣性誘導方式

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