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(16) 民生用国際宇宙基地のための協力に関するカナダ政府、欧州宇宙機関の加盟国政府、日本国政府、ロシア連邦政府及びアメリカ合衆国政府の間の協定
(1998年1月29日署名、同年4月24日国会承認、同年11月17日受諾書を米国に寄託)

 カナダ政府(以下、「カナダ」ともいう。)、
 欧州宇宙機関の加盟国の政府であるベルギー王国、デンマーク王国、フランス共和国、ドイツ連邦共和国、イタリア共和国、オランダ王国、ノルウェー王国、スペイン王国、スウェーデン王国、スイス連邦及びグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国の政府(以下「欧州諸国政府」又は「欧州参加主体」と総称する。)、
 日本国政府(以下、「日本国」ともいう。)、
 ロシア連邦政府(以下、「ロシア」ともいう。)並びに
 アメリカ合衆国政府(以下「合衆国政府」又は「合衆国」という。)は、
 1984年1月に、合衆国大統領が、航空宇宙局(NASA)に対して常時有人の宇宙基地を開発し及び軌道に乗せるよう指示するとともに合衆国の友好国及び同盟国に対して同基地の開発及び利用に参加し、当該開発及び利用の利益を共有するよう招請したことを想起し、
 1985年3月のケベックにおける合衆国大統領との首脳会談においてカナダ首相が前記の招請を受諾したこと及び1986年3月のワシントンにおける首脳会談において両首脳が協力についての関心を相互に確認したことを想起し、
 1985年1月31日及び1995年10月20日に欧州宇宙機関(ESA)の閣僚理事会の会合において採択された関連の決議の規定を想起し、並びにESAの枠組みの範囲内で、かつ、ESAを設立する条約第2条に定めるESAの目的に従って、コロンバス計画により及び国際宇宙基地開発計画への欧州の参加により民生用国際宇宙基地の要素の開発が実施されてきたこと及び実施されていくであろうことを想起し、
 1984年及び1985年におけるNASA長官の日本国訪問において明らかにされた日本国の宇宙基地計画についての関心及び第一次材料実験を通じての日本国による合衆国の宇宙計画への参加を想起し、
 ESA及びカナダが、欧州による最初の有人宇宙実験室(スペースラブ)の開発及びカナダによる遠隔マニピュレーター・システムの開発を通じて合衆国宇宙輸送システムに参加してきたことを想起し、
 1988年9月29日にワシントンで作成された常時有人の民生用宇宙基地の詳細設計、開発、運用及び利用における協力に関するアメリカ合衆国政府、欧州宇宙機関の加盟国政府、日本国政府及びカナダ政府の間の協定(以下「1988年の協定」という。)により並びにNASAとカナダ科学技術省(MOSST)との間、NASAとESAとの間及びNASAと日本国政府との間の関連の了解覚書により構築された協力関係を想起し、
 1988年の協定が合衆国と日本国との間で1992年1月30日に効力を生じたことを認識し、
 NASA、ESA、日本国政府及びMOSSTが1988年の協定及び関連の了解覚書に従って宇宙基地計画における協力関係を実現するために協力活動を実施してきたことを想起し、並びにカナダ宇宙庁(CSA)が1989年3月1日に設立されるに当たり、MOSSTからカナダの宇宙基地計画を実施する責任を引き継いだことを認識し、
 有人かつ長期間の宇宙飛行の分野におけるロシア連邦の独特の経験及び実績(ロシアのミール宇宙基地の成功裡の長期間の運用を含む。)にかんがみ、宇宙基地計画における協力関係へのロシアの参加により、宇宙基地の能力が著しく向上し、これがすべての参加主体の利益となることを確信し、
 1993年12月6日にカナダ政府、欧州諸国政府、日本国政府及び合衆国政府が、ロシア連邦政府に対し、宇宙基地に関する取極によって確立された枠組みにおける宇宙基地の詳細設計、開発、運用及び利用の参加主体となるよう招請したこと並びに1993年12月17日にロシア連邦政府がその招請に対して積極的に回答したことを想起し、
 国際宇宙基地の建設の準備を目的として有人宇宙飛行に係る重要な活動(ロシアと合衆国との間のミール・シャトル計画を含む。)における協力を促進するロシア連邦政府首相と合衆国副大統領との間の取決めを想起し、
 1967年10月10日に効力を生じた月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約(以下「宇宙条約」という。)を想起し、
 1968年12月3日に効力を生じた宇宙飛行士の救助及び返還並びに宇宙空間に打ち上げられた物体の返還に関する協定(以下「救助協定」という。)を想起し、
 1972年9月1日に効力を生じた宇宙物体により引き起こされる損害についての国際的責任に関する条約(以下「責任条約」という。)を想起し、
 1976年9月15日に効力を生じた宇宙空間に打ち上げられた物体の登録に関する条約(以下「登録条約」という。)を想起し、
 民生用国際宇宙基地に関して共同して活動することにより、長期間の相互に有益な関係の確立を通ずる協力が更に拡大され並びに宇宙空間の探査及び平和的利用における協力が更に促進されることを確信し、
 この協定の政府間交渉に関連してNASAとCSAとの間、NASAとESAとの間、NASAと日本国政府との間及びNASAとロシア宇宙庁「RSA」との間の了解覚書(以下「了解覚書」という。)が準備されたこと並びにこれらの了解覚書にこの協定の実施に関する詳細が規定されていることを認識し、
 前記に照らして、カナダ政府、欧州諸国政府、日本国政府、ロシア連邦政府及び合衆国政府の間で宇宙基地の設計、開発、運用及び利用のための枠組みを確立することが望ましいことを認識して、
 次のとおり協定した。

第1条 目的及び範囲
第2条 国際的な権利及び義務
第3条 定義
第4条 協力機関
第5条 登録、管轄権及び管理の権限
第6条 要素及び装置の所有権
第7条 運営
第8条 詳細設計及び開発
第9条 利用
第10条 運用
第11条 搭乗員
第12条 輸送
第13条 通信
第14条 発展
第15条 資金
第16条 責任に関する相互放棄
第17条 責任条約
第18条 関税及び出入国
第19条 データ及び物品の交換
第20条 移動中のデータ及び物品の扱い
第21条 知的所有権
第22条 刑事裁判権
第23条 協議
第24条 宇宙基地協力の検討
第25条 効力発生
第26条 特定の当事国の間において生ずる効果
第27条 改正
第28条 脱退
附属書 参加主体が提供する宇宙基地の要素
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